オランダ政府は外来植物を駆除するために、日本産の「キジラミ」5000匹の導入を決定しました。
オランダ各地のコンクリートを突き破り、他の若い植物の成長を妨げているのは、東アジア原産の植物「イタドリ (Japanese knotweed)」です。
日本でも見られるイタドリは至る所に根をはるタデ科の植物で、周囲の栄養素をくまなく吸い上げる貪欲さと成長速度の早さから、IUCN(国際自然保護連合)の定める侵略的外来種の一つに指定されています。
イタドリはシーボルトによってヨーロッパに持ち込まれた後、イギリスを始めとした多くの国で問題を引き起こしています。
オランダでは、イタドリによる建物や道路、堤防などの損傷で、毎年数百万ユーロの被害が出ています。
イタドリ駆除の救世主「イタドリマダラキジラミ」
オランダの首都アムステルダムに試験的に導入されたのは、イタドリを主食とするキジラミ科の虫「イタドリマダラキジラミ (Aphalara itadori)」です。
イタドリマダラキジラミは体長2ミリ前後のセミに似た昆虫で、日本では北海道から奄美大島に至るまで広く分布しています。
この虫はイタドリ以外の植物から栄養を摂取しないため、環境に優しい生物農薬として利用されています。
イタドリの天敵「イタドリマダラキジラミ」 (Credit: CABI)
オランダではこれまで、火や熱湯、さらにはレーザーなどを使ってイタドリの成長を阻害しようとしてきました。
しかし目に見える効果はなく、コンクリートへの被害は増え続ける一方でした。
そこで、オランダで最初にイタドリの栽培が行われたライデンの町が中心となり、イタドリマダラキジラミの導入に向けた研究が行われるようになりました。
イタドリマダラキジラミは過去にイギリスに生物農薬として導入され、一定の成果を挙げています。
ライデンの生物学研究所の昆虫学者であるスザンヌ・ロメン氏は、イタドリマダラキジラミについて、「実験で見られたような効果を与えることができれば、イタドリの成長と拡大を阻害できる」と述べています。
事前の調査によると、アムステルダムには、既にイタドリの定着している場所が1000か所以上存在しています。
ロメン氏は、「イタドリマダラキジラミがオランダに馴染まない可能性もあるが、この虫はよく似た気候の日本から来ている」と述べ、「イタドリがオランダの地で生き残るかどうかは、今回の導入によって明らかになるだろう」と付け加えています。
5000匹のイタドリマダラキジラミは、アムステルダムの3つの地域に放たれています。
当局は来年の春にも、追加の投入を行う予定です。
イタドリは元々観賞植物としてオランダに入ってきたんだって
やはり植物や動物をむやみに国外に移してはいけないな
Reference: The Guardian