お茶や紅茶など、多くの製品に使われているティーバッグには、数えきれないほどのマイクロプラスチックが含まれています。
大きさが5ミリ以下のマイクロプラスチックは、家庭から下水そして川から海へと流れ込み、海洋生態系を狂わせています。
一方で、人間が摂取した場合の影響についてはよくわかっておらず、WHOは現時点でのリスクについて「高いとは言えない」とする報告書をまとめています。
カナダの研究者は、ティーバッグから流出するマイクロプラスチックの量を検証する実験を行っています。
一杯のティーバッグには、人間が一年で摂取する量の20万倍のマイクロプラスチックが含まれています。
プラスチック製のティーバッグに含まれる大量のマイクロプラスチック
カナダのマギル大学の研究チームは、日常生活で摂取する可能性のあるマイクロプラスチックについて調べるため、市販されているティーバッグを使って実験を行っています。
実験には4つの高級ブランドのティーバッグが選ばれ、95度のお湯に5分間浸した後のマイクロプラスチックの量が計測されました。
結果、お湯のなかには、平均で約116億個のマイクロプラスチックと、約31億個のナノプラスチックが残っていることがわかりました。
(ナノプラスチックはマイクロプラスチックよりもさらに小さなプラスチック片)
人間は一年に約74,000個のマイクロプラスチックを摂取していると推定されています。
実験結果は、たった一つのティーバッグに、年間摂取量の20万倍ものマイクロプラスチックが含まれていることを示しています。
(Humusak/Pixabay)
Environmental Science & Technologyに掲載された研究の著者の一人であるマギル大学のローラ・ヘルナンデス氏は、ティーバッグから検出されたマイクロプラスチックの量について、「ペットボトルなどの他の飲料水に含まれる量よりも格段に多いことに驚いた」と述べています。
想定以上のマイクロプラスチックが検出された理由は、過去の研究がより大きなプラスチック片に焦点を当てていたためです。
ナノプラスチックレベルまで検出した今回の実験は、プラスチック汚染を引き起こすものが身近に存在している実態を浮き彫りにしています。
研究チームはマイクロプラスチックが生き物にどんな影響を与えるかについても調査しています。
実験では、ティーバッグに浸した水を50%、5%、0.5%の濃度で希釈した後、それぞれにオオミジンコを投入し観察しました。
その結果、50%と5%の水に入れられたオオミジンコに、行動の異常や奇形が確認されました。
これらのオオミジンコは体内に微小サイズのプラスチック片を取り込んでいました。
ヘルナンデス氏は、「お茶をプラスチックで包装する必要はない」と指摘し、消費者に対し、購入の際にはラベルを確認するよう勧めています。

最近はプラスチックを使わないティーバッグもあるみたいだよ

お茶や紅茶はティーポットで淹れるのがいいね
References: BBC,ScienceAlert