SNSの普及は旅行者の自己アピールの機会を増加させました。
自然や動物たちは常に被写体としての役割を求められ、旅行者のわがままに付き合わされることもしばしばです。
現在多くの国が、マナーをわきまえない旅行者の行動に頭を悩ませています。
豊かな自然と生態系をもつニュージーランドもそうした国の一つです。
環境に対する意識が高く、旅行者にも一定の自制を求めるニュージーランドは、2018年から「ティアキの約束 (Tiaki Promise)」の名付けたキャンペーンを始めました。
ティアキとはマオリ族の言葉で「守る」を意味しています。
このキャンペーンは、旅行者も含めたニュージーランドにいる全ての人に、自然や動物との共生について考えてもらう目的があります。
タスマニアの「ウォンバットを守る誓い」
ニュージーランドのお隣オーストラリアも、自然や動物を旅行者から守る取り組みを始めています。
タスマニアの東沖に浮かぶ小さな島「マリア島」では、ウォンバットに対する宣誓を旅行者に求めています。
誓約書には「ウォンバットを尊重すること」を筆頭に、「島の自然を大切にすること」、「ごみを出さないこと」など、自然や動物との共生を促す内容が盛り込まれています。
またマナーの悪い行動としてやり玉に挙がる「自撮り」についても明確に注意しています。
以下が誓約書の内容です。
私は自撮り棒を使ってあなた(ウォンバット)を追いかけません。
私はあなたの赤ちゃんに近づきすぎません。
私はあなたを囲んだりせず、あなたを迎え入れます。
私はごみを出しません。
私はあなたを野生のままにしておきます。
私は責任感と冒険心、そして優しさを持って島を探検します。
そして私は去り、美しさと驚きで満ちた魂を家に持ち帰ります。
タスマニアの旅行会社のCEOであるジョン・フィッツジェラルド氏は、宣誓について、「これは強制ではなく、自然やウォンバットを尊重する考え方に人々を導くものである」と説明する一方、現状一部の旅行者が、ウォンバットとの自撮りのために自然を荒らすケースがあると述べています。
旅行会社は、ウォンバットとの距離を保ち、動物や自然をできるだけそのままの状態にしたいと考えています。
しかしSNS映えする写真を撮りたい旅行者は、他の人が行かない場所に足を運び、ウォンバットにストレスを与えています。
フィッツジェラルド氏は、「現代は自撮りの時代であり、それが旅行者をウォンバットに近づけている」と指摘し、「旅行者は、ウォンバットが野生の動物であり守るべき存在であることを理解してほしい」と付け加えています。
マリア島は、島全体が自然保護区となっているタスマニアの国立公園です。
豊富な自然やウォンバットの生息地として知られ、またオーストラリアで最初の植民地時代の遺跡が存在しています。
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タスマニアの公式インスタグラムには素敵な写真が満載なので、ぜひのぞいてみてください。
マリア島の誓約書についてはこちらからどうぞ。
いい写真を撮りたいのはわかるけどウォンバットのことも考えてほしいね
自然や動物と適切な距離を保つ……これが一番大事……
Reference:CNN