有袋類でありながらオオカミでもあるというユニークな特徴を持っていたタスマニアタイガー(フクロオオカミ)は1936年に絶滅したと考えられています。
入植してきたヨーロッパ人が飼っていた羊を襲うことからタスマニアタイガーは目の敵にされ、懸賞金が出るほどにその排除が推奨され瞬く間にその数が減っていきました。
タスマニアタイガーは一度1930年にはほぼ絶滅したとされます。
しかしその後野生の個体が捕獲され、ホバート(タスマニアの首都)にある動物園で飼育されますが、結局その個体も1936年に死亡してしまい、タスマニアタイガーは地球から永遠にその姿を消すことになりました。
タスマニア島では今でもタスマニアタイガーの目撃情報が多数寄せられ、彼らがどこかで生息していることに希望を持つ人たちもいます。
最近公開されたオーストラリア政府の文書によると、ここ数年の間にタスマニアタイガーの目撃情報が増えはじめています。
3年間で8件、目撃者のいずれもがタスマニアタイガーだと“確信”している
Image:Tasmanian Tiger, original zoo footage (c1930) on YouTube
タスマニアの一次産業、公園、水および環境局(DPIPWE-Department of Primary Industries, Water and Environment)は、過去3年間にタスマニアタイガーを目撃したとする人たちからの情報をまとめた文書を公開しました。
それによると、3年の間(2016年9月1日から2019年9月19日までの間)に合計で8件の目撃情報がありました。
残念ながら文書には、確かな生存を示すような写真や動画はありません。
しかし目撃者たちは一様に、自分が見たものが何か別の動物などではなくタスマニアタイガーそのものであると主張しています。
2018年2月の報告によると、オーストラリアからタスマニアに訪れていたライダーグループの一人は、運転中に背中に黒い縞模様を持つ濃い茶色の不思議な動物を目撃しています。
ライダーは自分が田舎に住んでおりこうした土地に出没する動物の姿については多くを知っているとし、目撃した動物が猫や犬などではないことを強調しました。
またちょうど同じ時期にもある運転手が、砂利道の脇に特徴のある動物を目撃しています。
その動物はキツネよりもやや大きいサイズで、尾には縞模様がありこちらを全く怖がっているようには見えませんでした。
動物は砂利道を渡ろうと道の半分以上を進んでから引き返し、元いた場所まで戻ったといいます。
運転手のGPS情報と当日の交通管制情報から、この日砂利道を通過した車は4台だけだったことがわかっています。
2017年の1月と4月にも、ほんの数秒でしたが、森林保護区の近くの道で特徴的な動物を目撃したという報告があります。
今年に入ってからは、タスマニアタイガーのものと思われる足跡が発見されたという報告もありました。
いずれの目撃者も口をそろえて、その動物が既知のものではないことを強調し、尾や縞模様などから絶滅したタスマニアタイガーであると確信しています。
Tasmanian Tiger, original zoo footage (c1930)
本当に残念なことは、これだけスマートフォンが普及した現代においても写真や動画などの証拠が存在していないことです。
もちろん目撃者にとっては、自分が珍しい動物に遭遇するなどとは露にも思っていない状況で、しかも数秒の遭遇ですから無理もないことかもしれません。
タスマニアタイガーはネス湖のネッシーと並んで、定期的に目撃情報が寄せられる動物です。
ネッシーについては様々な科学的根拠によりその生息について疑問視する声がありますが、タスマニアタイガーは80年前まで実際に地球上に生息していました。
現在タスマニアタイガーのDNAからクローンを作ろうというプロジェクトもあります。
近い将来、彼らが再びタスマニアの大地を歩くようになる可能性はゼロではありません。

動画のタスマニアタイガーを見ると切なくなっちゃうね……

大丈夫、きっと今でもどこかで生きてるはずだよー!
References:DPIPWE