日本でも危険なハチとして警戒されているスズメバチの種がアメリカにも出現し騒ぎになっています。
日本やアジア地域に生息する「オオスズメバチ (Vespa mandarinia)」は、2019年の8月にカナダのブリティッシュコロンビア州に出現した後南下したと見られ、12月にはワシントン州の2つの都市で確認されました。
ワシントン州立大学(WSU)の科学者は、オオスズメバチを確認して以降経過を見守ってきましたが、4月に入りさらに活発化したことで、市民に対し十分に警戒するよう呼び掛けています。
WSUの昆虫学者であり侵入生物種の専門家であるトッド・マレー(Todd Murray)氏は、「これは驚くほど大きなハチだ」と述べ、スズメバチは健康上の災害であり、またさらに重要なのは、ミツバチの捕食者でもあることだと指摘しました。
非常に攻撃的で“殺人バチ”の異名を持つオオスズメバチは、刺された場合命の危険があるだけでなく、ミツバチを殺すため養蜂や花粉の媒介にも大きな影響を与えます。
マレー氏は、ワシントンでのオオスズメバチの数はまだ少ないため、「今はこの昆虫について学ぶときである」とし、チャンスがあるうちに根絶できるよう、識別方法を人々に教える必要があると話しています。
オオスズメバチがどういう経路で北米に侵入したのかはわかっていませんが、WSUは昆虫が貨物に紛れ込んで輸送されることがあると説明しています。
オオスズメバチは大きいもので5cmを超える (Photo Credit: WSDA)
ワシントン州農務省(WSDA)は、オオスズメバチの主な標的はミツバチであり、巣の中に入りしばしばそれを破壊すると説明し、「もしあなたがそれらを見た場合、自分で取り除こうとはしないでほしい」と述べています。
また養蜂家が通常用いている防護服では針を防げないとも付け加え、過去にハチに刺されたことのある人も含め、オオスズメバチに対しては細心の注意を払うよう呼び掛けています。
ミツバチを含む花粉の媒介者は、近年大きな圧力にさらされています。
アメリカでは1947年から2017年までの間に、ミツバチのコロニーの数が600万から250万に激減しました。
また、2018年から2019年にかけての冬の間に、コロニーの数がさらに40%減少したことも報告されています。
WSUの科学者は、現在オオスズメバチの巣の特定を急いでおり、国内のミツバチが一掃される前に根絶することを目指しています。

ミツバチがいなくなると農作物にも影響が出ちゃうんだよ

ワシントン州はオオスズメバチの目撃情報を集めるアプリも開発したみたいだよ