不安定な愛着行動は成長の証 犬にも人間と同じような思春期がある

動物
(Pavel Nekoranec/Unsplash)

イギリスの研究グループは、盲導犬として訓練される犬種の大規模調査を行った結果、犬にも人間と同じような思春期があることを発見しています。

思春期の犬は10代の若者のそれと同じく、不機嫌で気難しく、飼い主をいらいらさせます。

しかし辛抱強く待つことで、犬と飼い主の間にある絆は元通りになります。

 

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生後8か月頃の犬には思春期特有の不安定さがある

 

イギリスの複数の大学の研究者たちは、盲導犬種であるジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、およびこれらの交雑種の、生後8カ月前後における行動の変化を記録しています。

この時期は犬における思春期とされており、飼い主の複数の証言からは、頑固さや不従順さがみられることがわかっています。

しかしこれまで犬の思春期とその行動について具体的な研究が行われたことはありませんでした。

 

93匹の犬を観察した実験では、生後8カ月の子犬が、5カ月のときと比べて、おすわりの命令に反応するのが遅れたり、ときには拒否する例が確認されました。

この犬たちは、普段接している飼い主からの命令に対し反抗心を見せた一方で、全く知らない人間の命令には素直に従うことがありました。

これは人間の思春期の若者にみられるような、親に対する複雑な心の状態とよく似ています。

 

研究者は犬の飼い主たちにもアンケートをとっています。

質問は、飼い主が近づいたり離れたりしたときの行動が以前とどう変わったのかや、命令に対しどれだけ早くあるいは遅く反応したかなどいくつかの項目がありました。

結果、全体的な傾向として、生後8カ月前後の犬が、5カ月や12カ月のときと比べ明らかに普段とは異なる行動をとっていたことが明らかになりました。

 

研究者の一人ルーシー・アッシャー氏と飼い犬のマーサ (Glen Asher-Gordon/Newcastle University)

 

生後8カ月前後の犬は飼い主に対して不安と愛着という相反する感情を見せますが、この不安定さは数カ月もすれば元に戻ります。

しかしほとんどの飼い主は犬に思春期があるとは考えもしないため、場合によっては飼うのをやめてしまうことがあります。

研究者は、捨て犬や施設に預けられる犬の多くが生後8カ月頃の犬であり、その理由は、飼い主が犬の思春期について理解していないからだと指摘しています。

 

Biology Lettersに掲載された研究の著者の一人で、英国ニューカッスル大学の動物行動学者であるルーシー・アッシャー氏は、生後8カ月頃は犬の一生においてとても重要な時期であるが、同時に最も施設へ送られている時期でもあると説明したうえで、飼い主は愛犬の行動に戸惑ったとしても、成長段階を通過しているだけだと理解しなければならないと話しています。

アッシャー氏は、この時期の犬に対して飼い主が罰を与えたり感情的になったりすることは犬の成長にとって好ましくないと述べ、「これは人間の10代の場合と同じように、問題行動を悪化させる可能性がある」と付け加えています。

 

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かつて思春期を経験した多くの人が同意するように、問題行動は時間だけが解決できます。

いつもと違う行動を見せ始めた愛犬が生後8カ月前後であれば、それは単に彼らが思春期を経験しているのであり、飼い主を嫌いになったわけではないことを知っておく必要があります。

 

研究者は犬にも思春期があることを示した今回の結果は、犬が施設に引き取られるケースを防ぐだけでなく、人間の思春期を研究するための新しい方法にもつながると結論づけています。

 

 

 


 

 

かなで
かなで

いろんな動物が思春期を経験してるのかも

せつな
せつな

飼い主には従わないのに他の人には従うところがいかにも思春期……

 

 

 

References: ScienceAlert