牛にも思春期がある、性格に合わせた管理が生産性の向上に役立つ可能性

動物
(Sunnie-Lee Davison/Unsplash)

カナダのブリティッシュコロンビア大学が行った研究は、牛にも人間の思春期のような不安定な時期があることを明らかにしています。

過去に行われた研究では、ストレスの多い牛は食べる量が少なく、成長が遅れたり出る乳の量が少なくなったりする傾向にあることがわかっています。

思春期特有の不安定な状態は人間だけでなく、牛にも様々な影響を与えます。

成長段階の特定の時期に牛の性格が変わることを発見した研究は、動物の福祉や生産能力の向上に役立つ可能性があります。

 

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牛にも人間の思春期と同じような精神的に不安定な時期がある

 

ブリティッシュコロンビア大学の動物福祉学の教授、ニーナ・フォン・カイザーリンク(Nina Von Keyserlingk)氏と、彼女の教え子であったヘザー・ニーブ(Heather Neave)氏は、ホルスタイン種の乳牛が、環境の変化に対してどう反応するのかを観察しています。

対象となった牛の年齢は、生後1カ月と3カ月、そして1年と2年半の4つのグループに分けられました。

実験は、群れと隔離された環境で1頭ずつ3日間にわたって行われ、牛は1日目に何もない空間で30分、2日目に知らない人間と一緒に10分、そして3日目には見たことのない物体と共に15分を過ごします。

牛の性格は、変化した環境にどの程度、またどれくらいの時間で慣れるのかといった点で評価されました。

実験では、4つの年齢グループのうち、生後1年前後の牛だけが予測不能な動きをしました。

この年齢の牛は、積極的な探索を行う一方で人間に対して“照れ”のような感情も表し、また見たことのない物に触れそれを使って遊ぶのに要した時間が、他の3つのグループと比べて一貫していませんでした。

 

以前の研究では、大人になった牛の性格が非常に安定していることが明らかになっていますが、生後1年程度の牛を対象にした実験はこれまで行われてきませんでした。

今回の結果は、牛が大人になる手前の時期に、不安定な状態を経験していることを示唆するものです。

カイザーリンク教授は、「研究結果は、牛にも人間の思春期のような一貫性のない性格の時期があることを示している」と述べています。

 

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この研究の目的は、牛の性格とそれが年齢と共にどう変化していくのかを理解することにあります。

牛の性格に関する知識は、動物の健康管理や飼育方法に新たな視点を提供します。

ニーブ氏は、「全体的な目標は農場と動物の生活を改善することにある」とし、「理想的には生産能力を最大限に発揮するために、牛を群れではなく個体に合わせて管理できるようにするのが望ましい」と述べています。

 

牛の心理についての研究実績がある、米国ユタ州のキンメラ動物擁護センター(Kimmela Center for Animal Advocacy)の神経科学者ロリ・マリーノ氏は、「思春期は肉体的にも精神的にも大きな変化の時代である」と指摘し、今回の研究結果には驚いていないと語ります。

マリーノ氏は、「牛に思春期があるという発見は、霊長類であろうと牛であろうと、私たちがどれほど似ているのかを示すものだ」と述べたうえで、酪農業界で飼育されている牛たちにも人間と同じような感情があるということに、人々はもっと関心を持つべきだと強調しました。

 

研究結果はRoyal Society Open Scienceに掲載されました。

 


 

 

かなで
かなで

内気になったり大胆になったり牛にも思春期みたいな時期があるんだねー

ふうか
ふうか

動物の性格の違いによって飼育方法が変われば、生産性があがるかもしれないな

 

References: The Guardian