オーストラリアの自然保護団体オージー・アークは5日、シドニーの北にある400ヘクタールの保護区に、合計26匹のタスマニアデビルが放たれたと報告しています。
タスマニアデビルはタスマニア島にのみ生息する絶滅危惧種の有袋類ですが、かつてはオーストラリア本土にも広がっていました。
タスマニアデビルが本土の土を踏むのは約3000年ぶりとなります。
オージー・アークの代表であるティム・フォークナー氏は、「私たちは100年後、生態系の回復を開始した日として今日を振り返るつもりだ」と述べ、タスマニアデビルが本土に再導入されることの意義を強調しています。
Tasmanian Devils are making a comeback with the help of some friends! Friends of @wildark, @ChrisHemsworth and @Elsapataky_ helped reintroduce 11 devils to the wild Sept. 10. @Aussie_ark is monitoring the devils and all seem to be doing well. #DevilComeback #RewildAustralia. . pic.twitter.com/Uck8P30DRR
— Aussie Ark (@aussie_ark) October 5, 2020
保護区はフェンスに囲まれていますが、タスマニアデビルのための食料や水、避難所などは用意されていません。
彼らがオーストラリアで生き抜くには、自力で問題に対処し繁殖していく力が必要です。
オージー・アークと別の保護団体は今年の3月に、まず15匹のタスマニアデビルを放ちました。
その後、最小限の介入以外は行わずに監視を続けたところ、十分に野生で生活できることが確認されました。
9月にはさらに11匹が放たれました。
(Credit: Aussie Ark)
現在保護区のタスマニアデビルは健康で、繁殖も可能な状態となっています。
オージー・アークは今後2年間でさらに40匹を保護区に放つ予定です。
(Credit: Aussie Ark)
タスマニアデビルの現在の生息数は2万5000匹前後と推定されています。
しかし1990年代には15万匹が生息していました。
急激な数の減少は、DFTD(デビル顔面腫瘍性疾患)と呼ばれる、タスマニアデビルだけがかかる病気によるものです。
DFTDは顔面に発生する致命的ながんで、1996年に症例が報告されて以降、タスマニアデビルの約90%がこの病気により死亡しました。
オージー・アークはDFTDによる絶滅からタスマニアデビルを救うため、10年前から再導入プログラムに取り組んでいます。
タスマニアデビルは現存する最大の肉食有袋類であり、頂点捕食者です。
タスマニアデビルの本土への再導入は、オーストラリアの固有種を襲う野良猫やキツネの数の制限につながる可能性があります。
一度いなくなった動物を元に戻すことについては反対意見もあるようだ
イギリスのビーバーみたいに再導入がうまくいくといいね