絶対菜食主義者とよばれる人たちがいます。
一般的にヴィーガンとして知られているこれらの人々は、動物由来の食べ物を口にしません。
これは他者に強要しない限りにおいてはその人の信条の問題ですから、他人がとやかく言うことではありません。
しかし他者というのが人間ではなく、彼らの飼っているペットだったらどうでしょうか?
意外と盲点だったこの視点についてカナダの大学が、オンラインによる大規模な調査をしています。
ヴィーガンの飼い主はペットにも菜食主義を求める
カナダのゲルフ大学の獣医Sarah Dodd氏を中心とした調査チームは、ヴィーガンが持つ絶対菜食主義がペットの食べるものにも影響しているかどうかを調べるため、オンラインによるアンケートを実施しました。
この調査の目的は飼い主がペットに与えるエサの種類を明らかにすることのほかに、飼い主の信条の傾向がペットの食事にどのような影響を与えているのかを調べること、そして肉を避ける飼い主の数と植物ベースのエサを与えられるペットの数を推定することにあります。
アンケートは犬や猫を飼っている飼い主3,673人を対象に行われました。
自分がヴィーガンだと答えた飼い主の数は212人(5.8%)で、菜食主義者(ベジタリアン)だと答えた飼い主の数は229人(6.2%)でした。
この中からペットに対して植物ベースの食事を与えていると答えたのはヴィーガンだけで、その数は59人(1.6%)でした。
この数自体は少ないものの、一匹以上のペットがいる場合も考えるとその影響は決して小さくはありません。
Dodd氏は結果について、「植物ベースの食事を与えるヴィーガンの数は少数のように思えるかもしれないが、これは私たちの予想をはるかに超えたものだ」と述べています。
犬は菜食主義にするのは不可能ではないが、猫は絶対にダメ
犬は基本的に肉食動物ですが、必要ならば植物ベースの食事をとることもできます。
しかしそこには犬の健康を維持するために必要な全てものが含まれていなければならず、飼い主は食事について慎重に取り組まなくてはなりません。
また犬は骨や皮をかじるのが大好きです。
この行為は犬の精神的な健康に良い影響があることがわかっています。
一方で猫は完全に肉食でなければ生きていくことができない動物です。
現状猫をヴィーガニズムに巻き込むことは推奨されていません。
国によってはそうすることが、動物愛護法に基づく刑事訴訟につながるおそれさえあります。
こうした犬と猫の基本的な違いがありながらも、アンケートに答えた一部の飼い主は、ペットに対して菜食主義を強要していました。
Dodd氏は、「動物を食べることを避ける人々は、その考え方を自分のペットと共有する傾向がある」と述べたうえで、ヴィーガニズムのペットへの波及は、植物ベースの食事についての議論につながる可能性があると付け加えました。
アンケートに答えた人たちの多くは、実際にそれをしないまでも植物ベースのペットフードに関心を持っていました。
また彼らは、現状の肉ベースのペットフードが多くの動物の犠牲の上に成り立っていることを憂慮していました。
ペットを飼う人が増えるにつれ、ペットフードを生産するために消費される資源も増え続けていきます。
植物ベースのペットフードは、地球の環境と資源を守り、持続的な生活を続けていくための解決策になる可能性があります。

ペットフードの生産にはたくさんの資源が使われてるんだよ

犬や猫は餌が植物性になるのを本当に望んでいるのだろうか……
References:ScienceAlert,PLOS ONE