理由は“お腹がすいているから”、カワウソのジャグリングの謎がついに判明

動物
(Vicki Burton/Flickr)

カワウソは時折小石を両手に掴み自分のお腹の上で転がす行動をします。

このカワウソの「ジャグリング」は、多くの人や研究者を魅了してきましたが、なぜそれが行われるのかについてはよくわかっていません。

 

英国エクセター大学の研究チームは、動物園で飼育されているカワウソを観察した結果、ジャグリングが単なる遊びではないことを突き止めています。

カワウソはお腹がすくとジャグリングをしたくなります。

 

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カワウソのジャグリングは空腹のアピール

 

Royal Society Open Scienceに掲載された研究は、カワウソのジャグリングが、空腹時において頻繁に行われていることを明らかにしています。

英国エクセター大学のマリ-リサ・アリソン(Mari-Lisa Allison)氏たちの研究チームは、国内の3つの動物園で飼育されている2種のカワウソ48匹を、12時間にわたって観察し、ジャグリングの頻度や個体の年齢、性別などを記録していきました。

対象となったカワウソは、コツメカワウソ42匹と、ビロードカワウソ6匹です。

観察の結果、2種のカワウソともにジャグリングをしたものの、より頻繁に行うのはコツメカワウソであることがわかりました。

小石を使った遊びは種によって得手不得手があるようで、主に魚を食べるビロードカワウソは、カニや貝を主食とするコツメカワウソよりもジャグリングが苦手でした。

これはコツメカワウソの方が、食事の際に、手先をうまく使う必要があるためと考えられています。

またジャグリングを行うのは、最後に食事をしてから2時間以上たっている個体が多く、それらのほとんどが若いカワウソであることもわかりました。

 

ジャグリングをするカワウソ

 

研究者は、ジャグリングが若い個体で多く観察されることから、この行動が認知や運動能力の発達と何らかの関係があると推測し、別の実験も行っています。

実験では小石の代わりとなる餌の入った薬瓶とテニスボール、そしてプラスチック製のレンガを置き、カワウソの行動を観察しました。

仮にジャグリングが餌を得るために必要な能力の向上に役立っているのなら、それを頻繁に行っている個体は、ダミーから素早く餌を取り出せるはずです。

しかし結果は、年齢や性別およびジャグリングの頻度が、餌を取り出す時間に影響を与えていないことを示しました。

これはカワウソのジャグリングが、教育や成長のために行われているわけではないことを意味します。

アリソン氏は、「カワウソのジャグリングは空腹によって引き起こされている可能性が高い」と説明しつつも、最終的な動機はいまだに謎であり、引き続き研究を行いたいと語っています。

 

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カワウソのジャグリングについての研究はほとんどなく、今回の結果は、その行動について一定の結論を導き出しています。

しかし研究は動物園という限定的な環境でのみ行われたものです。

オランダのフローニンゲン大学の生物学者である、ハンナ・ダグデール(Hannah Dugdale)教授は、今回の結果について、「カワウソがジャグリングをする理由の解明に役立つものだ」と評価する一方、野生のカワウソを対象にした追加の研究も、今後必要になるだろうと話しています。

 


 

 

かなで
かなで

ラッコみたいでかわいいねー!

せつな
せつな

単純に面白いからやってるだけなのかもしれない……

 

References: University of Exeter,The Guardian