気温の上昇は生き残りのための進化を動植物に迫ります。
地球の生き物は歴史上5度の大量絶滅を経験してきました。
絶滅した種がいる一方、どうにかして生き残り進化を続けてきた種もいます。
これらの命運を分けたのが何であるのかについては、様々な意見があります。
オーストラリアの研究者は、生き残るために必要な適応力が、生息地に大きく依存していることを明らかにしています。
温暖化により多くの生き物が絶滅の淵に追いやられているなか、新しい発見は、効率的な種の保存に役立つ可能性があります。
将来の気温の上昇に強いのは亜熱帯に生息している種
フリンダース大学の分子生態学の研究者グループは、観賞魚として人気の「レインボーフィッシュ」を使い、生息地の違いが温度の耐性に及ぼす影響について調査しています。
多くの国や地域で飼育されているレインボーフィッシュは基本的にその場所から移動しないため、環境に適応した遺伝子変化により、それぞれの地域特有の個体群が形成されます。
実験で使われたのはオーストラリアの温帯、亜熱帯、砂漠の3つの地域で飼育されているレインボーフィッシュで、これらは2つのグループに分けられました。
一方は2070年に予測されている最も高い夏の気温33℃の環境で飼育され、もう一方は比較のために、現在の夏の平均気温21℃の環境で飼育されました。
そして14日後に肝臓を取り除いて組織の分析を行い、高い気温条件が遺伝子にどんな変化を与えたのかを特定しました。(魚は人道的な方法で処理されました)
その結果、どのレインボーフィッシュも、高い気温に適応するために遺伝子を活性化させていたことがわかりました。
なかでも亜熱帯で飼育されていたレインボーフィッシュは合計で109の遺伝子を変化させ、他の地域の種(砂漠84、温帯27)よりも気温の変化に柔軟であることが示されました。
亜熱帯種(Subtropical)は気温の上昇に強い。横軸は温度、縦軸は変化した遺伝子の数 (Credit: The Conversation)
研究では熱への耐性についても分析が行われましたが、亜熱帯のレインボーフィッシュはここでも高いスコアを出しました。
バランスを喪失するまでゆっくりと水温を上げていく実験では、温帯の種が35℃、砂漠の種が37℃だったのに対し、亜熱帯の種は38℃まで耐えることができました。
これら2つの実験結果は、同じレインボーフィッシュという種であっても、生活している場所によって気温の変化に対する適応力が異なることを示しています。
研究では、生活している場所の違いが遺伝子に影響を与えるメカニズムについては明らかになっていません。
しかし少なくとも亜熱帯に住む生き物が、温帯や砂漠に住む生き物よりも気温の変化に強いことは確かです。
研究者は「亜熱帯種は将来の気候に適応する能力が高く、最も脆弱なのは温帯種である」と指摘し、「この情報は、絶滅のリスクが高い生物と生態系の種類を特定し、それらが生き残るための方法を開発するのに役立つだろう」と付け加えています。
研究結果は米国科学アカデミー紀要に掲載されました。
ちなみに日本のほとんどは温帯に属してるんだよ
生き物を守る方法を今のうちから考えておかなきゃいけないね
References: The Conversation