オーストラリアで駆除されている野生の猫たち――2020年までに200万匹を駆除する計画

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Image by Dimitris Vetsikas from Pixabay

独特で多様な生物が生息しているオーストラリアは“猫”に苦しめられています。

オーストラリア政府は数年前から国内の野生生物を脅かしている野生の猫を駆除するために様々な取り組みを行っています。

 

オーストラリアはかつて野犬の一種であるディンゴから家畜を守るために大陸を横断する「ディンゴ・フェンス」をつくりました。

また魅力的な多くの固有種を守るために外来種の駆除を積極的に行ってきた国でもあります。

 

猫は世界中で愛される動物の一種ですが、オーストラリアでは近い将来居場所がなくなるかもしれません。

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2020年までに200万匹の野生の猫を駆除する計画

 

オーストラリアの絶滅危惧種コミッショナーであるGregory Andrews氏は2015年に「飼い猫の24時間収容要件」を制定しました。

それによると飼われている猫は原則屋内で飼育することとし、屋外に連れていく際にはひもでつなぐ必要がある、というものです。

これはすなわち要件を満たさない猫は野生の猫と判別され駆除の対象になることを意味しています。

これに似たような制限は2005年に首都キャンベラで既に行われていて、指定された地域のペットの猫は24時間屋内で飼わなければならないというものでした。

 

これらの強引とも言える取り組みについては世界の動物愛好家や猫好きからの非難が殺到しましたが、今現在においてもオーストラリアでは野生の猫を駆除する取り組みが続けられています。

New York Timesの報告によると、政府は2020年までに200万匹の野生の猫を排除することを目標としています。

 

しかしなぜ野生の猫だけが厄介者として扱われるのでしょうか。

 

2000万匹もの野生の猫はオーストラリアの固有種を絶滅させている

 

絶滅の危機にあるフクロネコ Photo by Michael Barritt & Karen May,Dasyurus viverrinus:Wikipedia

 

オーストラリアの固有種の減少に関わっているとされる野生の猫は、18世紀に植民地開拓者によって持ち込まれ、現在国内には2000万から3000万が生息するとされています。

危険にさらされている国内の種は、「ウォンバット」「フクロネコ(名前にネコとありますが有袋類)」「ニュージーランドアオバズク」、そして複数のフクロウが含まれます。

 

Andrews氏の試算では、1匹の野生の猫は1日に3~20匹の他の野生動物を殺しています。そして国内の野生の猫の数で換算すると、1日で8000万匹もの野生動物が猫によって殺されていることになります。

数字だけを見ると真実がどうか疑ってしまいますが、実際に野生の猫が2000~3000万匹も生息しているならばありえないことではないでしょう。

野生の猫の排除の必要性を主張している研究者たちは、これまでに少なくとも22種の固有種が野生の猫によって絶滅させられたと考えています。

 

政府はこのプロジェクトに資金を提供していて最初の年には360万ドルが猫の駆除に使われました。

ロイヤルメルボルン工科大学によると2015年からの12か月間で211,560匹の野生の猫が殺されています。

 

野生の猫はオーストラリアの生態系にとって重大な脅威

 

New York Timesの最新の報告では、野生の猫の駆除には様々な手段が用いられています。

カンガルー肉や鶏の脂肪、ソーセージといった餌の中に毒を入れ、それを猫の通り道に埋めたり空から地上に撒いたりします。それ以外にも罠を設置して捕獲したり、スポーツハンティングの対象として射撃の的にされてもいます。

こうしたやり方にはフランスの女優ブリジット・バルドーさんや、ザ・スミスのボーカル、モリッシー氏などがオーストラリア政府に対し抗議の声を挙げましたが、政府はどこ吹く風で現在も猫の駆除に勤しんでいます。

 

動物愛護の観点から考えると非常に残酷で冷酷な政府の姿勢に首を傾げたくなりますが、オーストラリアには元々猫の種が存在していませんでした。

調査によると野生の猫はオーストラリア全土の99.8%に生息していて、それは人が住んでいない場所(しかし固有の動物は生息している場所)にも及んでいます。またオーストラリアは他の大陸と違い、より小さな種ほど絶滅したり絶滅の危機に瀕しています。

他の地域の絶滅危惧種にとって最大の敵は“人間”です。それらは大きな種――ゾウ、サイ、ゴリラなど――ですが、オーストラリアにはそれほど大きな体をした動物がいません。

元々この地に存在していなかった猫にとってオーストラリアの固有種は、自分の口のサイズに適した、いわば“食べ放題の食事”でした。

 

野生生物に対する猫の影響を調べた調査結果によると、野生の猫はオーストラリアで毎年推定3億7,700万羽の鳥と6億4,900万匹の爬虫類を殺しています。

オーストラリアの元環境相のJosh Frydenberg氏は「野生の猫は私たちの生態系の健康にとって非常に重大な脅威です」と語っています。

 

 

 


 

2015年から行われている野生の猫撲滅キャンペーンは主に国外の人たちから多くの批判を受けましたが、国内ではそれほどの反発がなかったといいます。

クイーンズランド州のある獣医師は、オーストラリア人は自然の動植物に多大なる感謝をしていると述べる一方で、野生の猫がもはやこの地で生き残ることができないほどに固有種を狩り尽くしていることから政府の方針に共感している、と語っています。

 

猫は日本では犬を抜いて最も飼われているペットの種です。

そんな愛らしい猫が容赦なく駆除されていると考えると胸が痛みますが、実際に猫によって絶滅させられた種がいることも確かです。

オーストラリアの野生の猫も望んでそうなったわけではないと思うと、なんともやるせない気持ちになります。

 

 

Reference:NewYorkTimes,mnn

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