猫は犬のように外に連れ出すべきでしょうか。
多くの家庭が猫を飼っていますが、犬とは違いその一生のほとんどを家の中で過ごすことに飼い主は疑問を抱きません。
実際猫を外に出さないことには多くの利点があります。
感染症、怪我や事故、意図しない妊娠などは大事な家族の一員である猫の安全を考えるならぜひとも避けたい項目です。
しかし猫は元来野生の動物です。
猫が自分の中の野生に気づきながらも寂しそうに窓の外を眺める姿は飼い主を悩ませます。
猫の幸せと安全は人間側の都合だけで推し量られる傾向がありますが、猫自身は本当にそれを幸せだと感じているのでしょうか。
鳥や小型哺乳類の死亡原因の一つは屋外にいる猫
ジョージア大学とナショナル・ジオグラフィックによる2012年の調査によると、アメリカの猫は年間で40億羽もの鳥や小型の哺乳類を殺すことができます。
同じような結果は2013年に行われたスミソニアン渡り鳥センターと、米国合衆国魚類野生生物局との共同調査でも明らかになっています。
鳥たちの死亡を引き起こしているのはほとんどが野生の猫や野良猫によるものですが、飼い猫が屋外を歩き回る場合にもかなりの数の生物が犠牲になります。
猫は狩猟をする動物です。
屋内で飼っていても小さな虫類――人間が嫌悪感を抱くものも含む――を見つけたときは嬉々として飛びついていくのが猫という生き物です。
猫を屋外に放つことで他の生物が危険にさらされるのは飼い主としても忍びないものがあります。
しかし別の側面からの研究は、屋外にいる猫にも危険が及ぶ可能性があることを示しています。
屋外にいる猫は屋内の猫よりも3倍病気に感染する
Photo bySangia/Unsplash
2019年の4月にBiology Lettersに掲載された研究では、屋外の猫は屋内の猫よりも病原体や寄生虫に感染する確率がほぼ3倍高いことがわかりました。
研究の主執筆者Kayleigh Chalkowski氏によると、20ダース以上の過去の研究を精査した結果、この傾向が国や地域を問わないものであることがはっきりしました。
これらの研究は日本以外の国で行われたものですが、多くの飼い主がペットの猫を外に出したくないと考える理由を補強するものです。
誰でも自分たちの猫が病気になり早死にするのを見たくはありません。
ではやはり一生家の中で飼うのが猫のためなのでしょうか。
屋内の猫は長生きする傾向があるが、肥満や糖尿病、ストレスなどを抱える可能性がある
猫をずっと屋内で飼うことに賛成しているのは飼い主だけではありません。
全米オーデュボン協会(自然や環境保護を目的とする団体)、アメリカの獣医師会や動物福祉機関、米国人道協会(動物や子供の福祉向上を目的とした団体)などは、ペットを屋内で飼うことに賛成しており、病気や事故を避けることが長生きにつながると指摘しています。
しかし一方で、猫の持つ野生の部分を尊重するべく積極的に屋外に連れ出すことを選ぶ動物の専門家や飼い主もいます。
猫は遺伝的に野生のままであり、屋内で過ごすよう改良を重ねられてきた一部の犬とは違うものです。
またずっと屋内で過ごすことは猫にフラストレーションを与える要因になります。
不満を持った猫は肥満や糖尿病のリスクが増すだけでなく、日常的な行動にもしばしば異常を見せることがあります。
突然攻撃的になったり、決められた場所以外で排泄をしたりといった問題行動に頭を悩ませる飼い主は少なくありません。
外に出すのも危険、屋内で生活させるのもストレスになる……飼い主はこの板挟みにどう対処すればいいのでしょうか。
リードやハーネスを装着して散歩させる、もしくは屋内を刺激的にする
Image by Mabel Amber, still incognito… fromPixabay
外もダメ屋内もダメ、こういう場合にはその中間を取るのが最も良い方法です。
猫にリードもしくはハーネスをつけて外に連れていくのは賢い選択です。
猫はリードやハーネスといったものを装着するのに慣れていないので最初のうちは訓練が必要です。
かといってそれなしで外に出した場合は飼い主の目が行き届かなくなる可能性があります。
その辺に落ちているものを食べて病気になったり、ちょっと目を離した隙に事故に遭ったりといったことがないように、外に連れていく場合には必ずリードもしくはハーネスをつけましょう。
そして外出する前には必ず感染症予防のための最新のワクチン接種について獣医師の意見を仰ぎましょう。
猫をストレスなく長生きさせるためのもう一つの方法は屋内をより刺激的にすることです。
生まれた時から屋内にいる猫は外に対してそれほど興味を示さない場合もあります。
しかし彼らに野生のDNAが存在しないわけではありません。
自然界は猫にとって興味と娯楽のための無限の機会を提供していますが、屋内となると限られてきてしまいます。
猫を飽きさせないために飼い主は猫の環境を刺激的にする必要があります。
猫科の動物は登ったり、引っかいたり、隠したりといったことが大好きです。
そして垂直方向のスペースを欲しがる動物でもあります。
猫が登ることができる構造物や、物を隠すことのできるスペースを確保しましょう。
そして最も大事なことは飼い主が猫と遊ぶことです。
猫と絆を結びたい?だったら積極的に遊んであげましょう!
またいつも同じおもちゃを使うのではなく時には別の種類のものにしたり、遊び方に変化を加えるなどして猫が退屈しないように工夫をしましょう。
年齢が上がるにつれ猫の遊びに対するハードルが上がっていきますが、それにどう答えていくのかも飼い主としての腕の見せ所です。
猫が肩で息をするほど遊びに夢中になったとき、あなたと猫との間には断ち切れない絆が生まれているはずです。
ペットフード協会によると日本では犬よりも猫の飼育数のほうが多く、2018年にはおよそ960万頭の猫が飼育されていることがわかっています。
ペットを家族の一員として大事にする考え方が浸透してきた一方で、野良猫を虐待したり毒入りの餌をまいたりといった悲しい事件も増えてきました。
愛するペットを守り末永く暮らしていくためには、人間の都合だけでなく、ペット自身の性格や本能といった部分にまで目を向ける必要があります。
飼い猫の目線に立つことはお互いを知るための大事な一歩です。
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References:mnn
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