猫はどこで飼えばいい? 室内飼いと外飼いそれぞれの利点とリスク

動物
(Wren Meinberg/Unsplash)

猫を外に出すべきか――この飼い主にとっての永遠の疑問に対しては、いくつもの意見があります。

猫は元々野生の動物です。

屋外の猫は、獲物を求め数キロを移動し、一生を自然の中で過ごします。

一方家の中で飼われている猫は、食事に頭を悩ませることはなく、感染症、怪我や事故、意図しない妊娠といったリスクを避けることができます。

どちらの環境が猫にとって幸せなのでしょう。

いくつかの研究結果などから、猫の最善の飼い方についてみていきましょう。

 

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屋外の猫は鳥や小型哺乳類の天敵になる

 

野生の猫は狩猟が得意であり、様々な動物を捕らえそれらを食料にします。

一匹の猫は私たちの想像以上に動物を殺すことができます。

米国ジョージア大学などの2012年の調査によると、アメリカ国内の全ての猫は、年間で40億匹の鳥や小動物を殺しています。

 

在来種を殺す野生の猫に頭を悩ませているオーストラリアでは、積極的な駆除が行われています。

野良猫と言えど命のある動物であり、殺すのは忍びないと考える人もいます。

しかしオーストラリアには既に2000万匹以上の野良猫がおり、これらは“毎日”7500万匹以上の動物を殺しています。

こうした事実は飼い主にとって、猫を外に出さない大きな理由になり得ます。

猫を外に出さなければ、余計な命を奪うことも、猫嫌いの人から嫌がらせを受けることもなくなります。

 

猫を家で飼うほうが有益であるという証拠は他にもあります。

 

屋外の猫は室内の猫よりも病気に感染しやすい

 

2019年の研究によると、屋外の猫は室内の猫に比べ、感染症にかかる確率が約3倍高くなります。

この結果は、猫の感染症に関する様々な国の200以上の研究結果を元にしたものです。

外に出る猫は、病原体や寄生虫に接する機会が多いため、必然的に室内の猫に比べ、病気になる確率が高くなります。

では、ペットの幸福を考えるならば、猫は一生家の中で飼うべきなのでしょうか。

 

(Sangia/Unsplash)

 

室内の猫は、餌の心配も雨風にさらされる心配もありません。

また怪我や病気になっても、すぐに獣医師に見てもらえます。

こうした環境は猫の寿命を延ばします。

しかし十分な食事と住まいだけでは、猫を幸せにできない可能性があります。

これは猫と並ぶ人気のペットである、犬との大きな違いです。

犬は元々オオカミですが、人間が改良を重ねた結果、室内と屋外それぞれに適応した種が生まれました。

一方全ての猫は、遺伝的に野生のままです。

家で飼っている猫が、窓の外で動く物体に大きな興味と興奮を示すのはそのためです。

また室内の猫は栄養過多になりがちで、それに運動不足が重なると、様々な疾患があらわれてきます。

こうした状態は猫にストレスを与え、放っておくと、突然攻撃的になったりいつもと違う場所で排泄するなど、異常行動につながることもあります。

 

外も危険、室内で飼い続けることにも何らかのリスクがある――ではほかにどんな選択肢があるのでしょうか。

 

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猫を散歩させたり、室内を刺激的な環境にする

 

(MabelAmber/Pixabay)

 

猫を定期的に外に出すのは、猫のストレス解消や肥満の予防に役立ちます。

しかし単に窓を開け自由にさせるのは危険が伴います。

猫を外に出す場合は、リードやハーネスを装着しましょう。

猫はリードのようなものに慣れていないため、最初のうちは自宅で短期間の訓練を行います。

リードをつければ、飼い主は猫を見失わずに把握することができ、別の動物との接触や事故などから猫を守ることができます。

 

外に出すことにためらいがある場合は、室内の環境をより刺激的なものにする選択肢もあります。

猫は高い場所や狭い場所を好み、また引っ掻いたり、隠したりといった行動が大好きです。

自然環境と同等とはいきませんが、それに似せた構造物(ダンボール製のタワーなど)を設置することはできます。

そしてもう一つ、費用も掛からず効果的なのは、「飼い主が遊んであげる」ことです。

特に年齢が若い猫には、成長の観点からも遊びが重要です。

飼い主が愛情をもって遊んであげればあげるほど、猫は健康になり、絆も深まっていくでしょう。

 

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ペットフード協会によると、日本では犬よりも猫を飼っている人のほうが多く、2018年現在、およそ960万匹が飼われています。

ペットを飼うのは流行や一過性のブームではなく、命を預かるという責任の問われる行動です。

飼い主の多くは猫を愛し、できる限り長生きしてほしいと願っています。

そのためには、自分の猫が何を好むのか、そしてそれに対しどう応えてあげられるのかについてよく考える必要があります。

外飼いか室内飼い、どちらを選ぶのか――

答えはあなたの猫が知っています。

 

 

 


 

 

かなで
かなで

外に出すのも室内で飼うのも、それぞれに利点と欠点があるんだね

ふうか
ふうか

猫にとって何が一番いいのかを考えるのも飼い主の責務といえるな

 

Reference: Treehugger