英国エクセター大学と、野生生物保護区「WWTスリムブリッジ」による研究は、フラミンゴの行動が餌場によって変化し、狭い場所では鮮やかなピンク色の個体ほど攻撃的になることを発見しています。
フラミンゴの羽の色は食事に含まれるカロテノイドの量によって変化します。
鮮やかなピンク色は、そのフラミンゴが健康で、他の個体よりも多くの餌を食べていることを意味しています。
フラミンゴは巨大な群れを作る複雑な社会性をもつ鳥で、普段は他の個体にあまり干渉しません。
しかし餌場が狭い場合や繁殖期など、特定の状況においてはケンカに至る場合があります。
鮮やかなピンク色のフラミンゴほど攻撃的
研究では、スリムブリッジ内にある大きさの異なる3つの餌場でフラミンゴを観察しました。
対象となったのは、フラミンゴのなかで最も小さな種である「コフラミンゴ (Lesser Flamingo)」です。
観察結果は、餌場が狭くなるほど、フラミンゴ同士の衝突が起きやすくなることを明らかにしました。
なかでも鮮やかなピンク色のフラミンゴはそうでないフラミンゴよりも攻撃的で、しばしばケンカをふっかけました。
水たまりのような狭い餌場では餌の争奪戦が起こる一方、十分なスペースのある広い餌場ではケンカの起きる割合が半減し、食事の時間も2倍に増えました。
広い餌場ではケンカが起きない (Kandukuru Nagarjun/Flickr)
観察では羽のピンク色の度合いを4段階にわけ、攻撃性の違いを記録していきました。
最も攻撃性が高かったのは、健康で繁殖の準備ができている鮮やかなフラミンゴで、最も攻撃性が低かったのは、淡いピンク色のフラミンゴでした。
また性別は攻撃性と関連がありませんでした。
研究を主導したエクセター大学のポール・ローズ博士は、狭い餌場でのフラミンゴの行動について、「群れをなして餌を集めなければならないとき、鳥たちはケンカをすることが多くなり、餌を食べる時間も少なくなる」と説明し、「この結果は、フラミンゴができるだけ広い環境で飼育されるべきであることを示している」と述べています。
自然環境のフラミンゴは、数万から数十万に及ぶ巨大な群れを形成し、餌の多い干潟を求めて移動します。
しかし飼育されているフラミンゴは限られた範囲で生活しており、餌場の大きさによっては十分な栄養を得られなくなる可能性があります。
これは、特に繁殖や子育て時期にある個体にとっては死活問題となります。
ローズ博士は、「広々とした屋外の給餌エリアを設けることができれば、フラミンゴの自然な採餌を促しケンカを減らすことができる」と述べ、動物園はフラミンゴの行動を変えるために、飼育方法にまで手をつける必要はないと付け加えています。
ローズ博士は最近行った別の研究でも、保護区内のフラミンゴが、数羽からなる仲の良いグループで構成されていることを発見しています。
繁殖が終わったフラミンゴは徐々に色が薄くなるんだって!
動物はやはり自然の環境で生きるのが一番だな
References: University of Exeter