フラミンゴは数千から数万、種によっては数百万の群れを作る鳥として知られています。
生息地である塩湖や湿地帯で見られる広大なピンク色の光景は自然の驚異の一つですが、巨大な群れの中にどのような社会性が存在しているのかはよくわかっていません。
イギリスの研究者たちは、4年にわたってフラミンゴの群れを観察し、彼らが数羽からなる特定のグループを長い間維持し続けていることを発見しています。
フラミンゴの群れは、仲のよいパートナー同士の集まりでできています。
フラミンゴの群れは仲の良い小さなグループの集まり
英国エクセター大学の研究者は、グロスターシャー州の野生生物保護区、「WWTスリムブリッジ (WWT Slimbridge Wetland Centre)」に住むフラミンゴの群れを、2013年から2016年の4年にかけて観察、調査しています。
約800ヘクタールの広さを持つWWTスリムブリッジは、フラミンゴの他にも数多くの水鳥が一年中生息する保護区で、訪問者を受け入れるだけでなく、国際的な研究および繁殖プログラムにも協力しています。
観察はWWTスリムブリッジの湿地エリアに住むフラミンゴの群れ、約350羽を対象に行われました。
フラミンゴの種は、ベニイロフラミンゴ、チリーフラミンゴ、アンデスフラミンゴ、コフラミンゴの4種です。
(oilpapers/Flickr)
研究者は、それぞれの個体の足の健康状態やパートナーの有無、そしてそれらが群れ全体に及ぼす影響などを評価し、2012年に行われた同様の観察データと比較しました。
その結果フラミンゴの群れの中には、2~5羽ほどで構成される絆の強い小さなグループが存在し、そのパターンが、カップル、オス同士、メス同士、3、4羽の親しい友人グループなど様々なバリエーションに富んでいることがわかりました。
グループは長期間にわたって絆を維持しており、一部のグループは前回の2012年の調査時にも記録されていました。
一方で、あるグループが特定のグループや個体を避ける場合があることも確認されました。
足の健康状態は絆の強さや社会性に影響を与えず、具合の悪い個体が仲間のフラミンゴに見捨てられるようなことはありませんでした。
Behavioral Processesに掲載された研究の著者の一人で、英国エクセター大学の動物および鳥類学者であるポール・ローズ(Paul Rose)博士は、「フラミンゴの社会は複雑であり、それらはランダムなつながりというよりは、長年の友情で形成されている」と説明し、観察結果は、フラミンゴの社会的な絆が野生での生存にとって重要であることを示唆していると話しています。
フラミンゴは長寿であり、今回の調査でも1960年代から生息している個体が確認されています。
観察結果は、全てのフラミンゴが決して孤独ではなく、誰かのパートナーであることを示しました。
ローズ博士は、小さなグループの長期間にわたる強い絆は、食べ物を見つけることや、捕食者に目を光らせ群れ全体に警告を発したりするうえで、重要な役割を果たしていると述べています。
研究者は、フラミンゴ同士には強い絆が存在しているため、動物園から別の動物園に移動させる際には、仲の良い個体を引き離さないように注意する必要があると指摘しています。
気が合わないフラミンゴ同士はお互いに干渉しないみたいだよ
仲の良いグループの存在がフラミンゴの長寿の秘訣なのだな
References: University of Exeter,The Guardian