自分だけのダイアウルフを飼おうとするゲーム・オブ・スローンズのファンに対し出演者が忠告する

世界中で人気のHBOのテレビシリーズ「Game of Thrones（ゲーム・オブ・スローンズ）」の最終シーズンがついに放映を開始しています。（2019年4月15日から）

これからしばらくの間ネット上のあらゆるところで、ウェスタロスの玉座の行方についてファンの議論が交わされることでしょう。

いつの時代にも人気のテレビ番組は、いい意味でも悪い意味でも人々に影響を及ぼしてきました。

ファンタジー作品であるGame of Thronesも例外ではありません。

劇中のダイアウルフを手に入れようとするファンたち

物語の中で主人公たちに一匹ずつ与えられた狼のような姿をしたダイアウルフ（Dire Wolf）は、その忠実さと優れた外見でファンを虜にしました。（ダイアウルフはアメリカ大陸に生息していた狼に似た大型の動物で約1万年前に絶滅しました）

ダイアウルフと主人公たちの運命的で悲劇的なストーリーは多くのファンの心を揺さぶりましたが、そのうちの一定のグループはある行動を起こします。

彼らは“自分だけの”ダイアウルフを求め、その外見に似た別のイヌ科の動物を飼い始めたのです。

しかし一時の感情で一生を養えるほど犬の飼育は楽なことではありません。

当然ファンの中には飼育を放棄する者が現れます。

犬ぞりで使用される大型の犬の救助活動を行っているNorthern California Sled Dog RescueのAngelique Miller氏によると、2014年にはイギリスの動物慈善団体が保護したハスキー犬の数が前の年に比べて700％も増加しています。

Miller氏はダイアウルフに似ているという理由でハスキー犬を飼い、その後捨ててしまう事例が跡を絶たないと言います。

人々はショーを見ていかにこれらの犬がクールであるかを考えます。彼らはハスキーと狼の違いさえ分かりません。彼らはただかわいいと思うものに従っているだけなのです。

サンフランシスコにある犬救助組織は、保護されたハスキーの多くにGame of Thronesに登場するダイアウルフの名前（Lady、Ghost、Nymeria、Grey Wind、Summer）がつけられていたと報告しています。

こうした悲しい出来事についてドラマの出演者たちも懸念の声を挙げています。

出演者の忠告にも関わらずダイアウルフに似た犬は予約で埋まっている

ティリオン・ラニスター役のピーター・ディンクレイジ氏は、自身が動物愛好家であり長年のベジタリアンであることを公表しています。

彼はPETA（People for the Ethical Treatment of Animals-動物の倫理的扱いを求める人々の会）を通じて、Game of Thronesの“悲劇的な”人気のおかげで、多くのファンがハスキーを買っていることを把握していると語ります。

もしあなたがそれをするならとてつもない責任があることを確認してください。そしていつもどんなときでも避難所のことを忘れないでください。

ディンクレイジ氏は、ファンの安易な行動は避難所で次の家を待っている全ての犬たちを傷つけるだけでなく、犬が衝動的に買われた際にしばしば起こるようにハスキーの多くが放棄される結果になると述べています。

また公式プロジェクトサイトは、劇中のダイアウルフは実際のものとは違う特徴を持っているとし、そのサイズや身体の作りについて誤解しないよう忠告しています。

こうした制作側の懸念の表明にも関わらず、アメリカではダイアウルフに似た犬種の購入が予約待ちになっています。

絶滅したダイアウルフを復元しようと様々な犬種を掛け合わせている、1988年から始まった「The Dire Wolf project（ダイアウルフプロジェクト）」は、アラスカン・マラミュートとジャーマン・シェパードを交配させたAmerican Alsatian（アメリカン・アルセイシアン）という新しい品種を生み出しています。

アメリカン・アルセイシアンは現在主にペットとして飼われていますが、警察犬やセラピー犬として活躍できるだけの能力を持っているとされます。

また人懐こく温厚な性格と、そのダイアウルフを彷彿とさせる外見はGame of Thronesファンにとって垂涎の的となっています。

下の動画でアメリカン・アルセイシアンを見ることができます。