戦うよりも共存を ホホジロザメはシャチとの遭遇を全力で避ける

動物
(Efraimstochter/Pixabay)

海の最強生物についての議論はあらゆる世代を引き付ける人気のテーマです。

ほとんどの場合、候補となるのは2つの生き物、すなわち「ホホジロザメ」と「シャチ」です。

この2種の動物は、一方が魚、一方が哺乳類と、知性の面では明らかな差が存在しています。

しかしどちらも、大きな体と貪欲な食欲を持つ「海の王者」としての資格を十分に備えています。

 

アメリカの海洋学者は、ホホジロザメとシャチの広範囲にわたる行動データから、2つの種の特徴を明らかにしています。

ホホジロザメとシャチの間には、単純ではない横のつながりが存在しています。

 

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ホホジロザメはシャチとの遭遇を避ける

 

Scientific Reportsに掲載された研究は、GPSを取りつけたホホジロザメの追跡データと、サンフランシスコ沖の海域で収集されたシャチとサメ、アザラシの27年間に及ぶデータを元に、2つの動物の関係性について明らかにしています。

GPSを使ったホホジロザメのデータは、2006年から2013年にかけて収集されたもので、165匹を対象にしています。

 

研究者は、ホホジロザメがシャチのいる海域に入った途端、すぐにその場を離れる傾向にあることを発見しています。

ホホジロザメは向かう場所が餌場であっても、ほぼ毎回、シャチとの遭遇を避けていました。

この回避行動はシャチが近くを通り過ぎただけでも起こりました。

またホホジロザメは、シャチに譲った餌場に、長ければ1年もの間戻ってきませんでした。

 

これらの結果は、ホホジロザメがシャチとの遭遇を嫌っていることを示しています。

 

シャチはホホジロザメの餌の回復を助けている

 

尻尾を巻いて逃げたようにも見えるホホジロザメは、絶好の餌場を手放して一体どこに消えたのでしょう?

GPSは彼らが別の聖域に移動したことを明らかにしています。

 

シャチを回避したホホジロザメは、バハ・カリフォルニアとハワイの中間にある「ホワイトシャークカフェ (White Shark Cafe)」と呼ばれる海域に避難していました。

シャチとホホジロザメの遭遇があった後は、高確率でホワイトシャークカフェの密度が上昇しました。

この海域は半径250kmの海の砂漠のような場所として知られてきましたが、近年の調査では、サメの餌となる豊富な生き物の存在が確認されています。

サメはここで時間を過ごした後、再びシャチに奪われた餌場に移動しました。

研究著者の一人であるモントレーベイ水族館のサルバドール・ヨルゲンセン氏は、ホホジロザメのシャチを避ける行動について、「本能によるものかはわからないが、これらの結果は、食物連鎖が必ずしも直線的ではないことを表している」と述べています。

 

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これまでホホジロザメは、シャチよりも一段下の生き物として認識されてきました。

しかし追跡データは、この2つの動物がいたずらに争わず、むしろ共存関係にある可能性を示しています。

シャチに占領された餌場では、ホホジロザメの好物であるゾウアザラシの死亡数が減少していました。

これはシャチが、ゾウアザラシの数の調整に貢献していることを表しています。

数カ月後に餌場に戻るホホジロザメは、シャチのおかげで、丸々太ったゾウアザラシを食べることができます。

 

ヨルゲンセン氏は、これらの動物の行動を完全に理解するには時間がかかるだろうとしたうえで、「食物連鎖のトップにいる捕食者同士には、横方向の相互作用が働いている」と語っています。

 

 

 


 

 

しぐれ
しぐれ

どっちが最強かと言われるとやっぱり余裕のあるシャチになるのかな?

かなで
かなで

ホホジロザメも狂暴だから、できればシャチも戦いたくないんだよー

 

References:Nature

(※2019年4月の記事に加筆修正を加えました)