ペットは飼い主に似るとはよく言いますがこれがただの経験則や言い伝えではないという研究結果が明らかになっています。
自分のペットのことは可愛く見えるものですが、他人はあなたとあなたのペットのことをそうは見ていないかもしれません。
もし誰かがあなたのペットのことを神経質だと評したならば、あなた自身が神経質である可能性があります。
飼い主の性格傾向はペットの猫にも伝わっている
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イギリスのノッティンガム・トレント大学の動物福祉研究者Lauren Finka氏は、猫の飼い主の性格特性が彼らのペットが示す行動と相関性があることを発見しました。
Finka氏のチームは3000人以上の猫の飼い主の性格傾向を調査しました。
これは性格特性を調査する方法として知られるBFI(Big Five Inventory)の手法を使って飼い主と猫の行動にある関連性を調べるものです。
BFIは5つの特性から構成されています。
2. 誠実さ
3. 外向性
4. 協調性
5. 神経症的傾向
これらの5つの要素の組み合わせによりその人の性格の傾向がわかります。
調査結果は飼い主とそのペットの行動に相関性があることを示しました。
例えば神経症的な飼い主はそうでない人に比べてより攻撃的であり、不安や恐怖といったストレスに関連する感情を抱えている傾向にありました。
そして彼らのペットも同じような傾向を示しました。
Finka氏は飼い主とペットの間にある相関性は多くの人がペットを家族の一員だと考えていることが一つの要因であると考えています。
ペットとの関係を築く際に飼い主の傾向がペットに影響を与える可能性があります。
Finka氏は他の性格パターンの飼い主についても同じような傾向があったことを報告しています。
例えば外交的な飼い主のペットは同じように外で活動する可能性が高く、その飼い主は自分のペットに対してとても満足している傾向にあることがわかりました。
研究は飼い主の性格の傾向がペットにも影響を及ぼすことを示しましたが、結果がどうあれ大多数の飼い主が自分のペットに最善のケアを施したいと考えていることは確かです。
Finka氏はこの相関性の原因とそれが猫の福祉にどのように影響を与えるのかについてさらなる調査が必要だと語りました。
これまで人間の親と子の間に相関性があるという研究結果は多く存在していましたが、飼い主とペットのものについてはほとんど知られていませんでした。
研究チームは今回の結果が、飼い主とペットとの間にある相互作用について広い洞察を得る貴重な機会を提供することになるだろうと期待を寄せています。
飼い主の幸せはペットの幸せにつながる
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この研究結果は驚きというよりはむしろ猫のもつ意外な協調性の表れであるかもしれません。
猫は気まぐれな生き物として知られていますが、飼い主の干渉を十分に理解している可能性があります。
エジンバラ大学の猫医学研究者であるDanielle Gunn-Moore氏は猫のもつ特性についてこう話しました。
彼らは周囲の人々の影響を強くうける感傷的な生き物です。彼らはその所有者と密接に結びつきお互いに影響を及ぼしあっています。
研究では飼い主とペットの行動に相関性があることがわかりましたが、これはペットの福祉にも関係しています。
ペットのことを愛していて彼らを幸せにしたいと思っているのに、飼い主の心の中とその行動がネガティブだったらどうでしょうか。
猫が本当に飼い主に似るのであれば、飼い主は自分の行動が及ぼす影響についてもっと知ることが必要です。
自分を知ることはペットに幸せと健康をもたらすことにつながります。
猫は自由気まま生き物でこちらの言うことなんかこれっぽっちも聞いていないように思えることがありますが、たぶんそんなことはないのでしょう。
彼らは彼らのやり方で十分飼い主の愛情を理解しています。
猫に限らずペットが家族の一員であることに変わりはありません。
自分が幸せでいるためにペットを利用するのではなく、自分が幸せであることでペットも幸せになる……そんな関係性こそ飼い主とペットの最高の絆なのかもしれません。
References:ScienceAlert,PLOS ONE
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