野良猫を安易に処分させない!ニューヨークで始まった猫と人とをつなぐ画期的な試み

動物

大都会ニューヨークでは、毎月数えきれないほどの野良猫が捕獲されています。

捕獲されたほとんどの猫たちはシェルターで新しい飼い主を待つか、それが叶わない場合は処分される運命にあります。

不幸な猫をこれ以上増やさないための方法が官民で模索されているなか、ある市民団体が画期的なアイデアを思いつき実行に移しています。

 

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野良猫を安易に処分させないための原則「TNR」

 

 

ニューヨークの市民団体「New York City Feral Cat Initiative (NYCFCI)」は、野良猫を人道的に捕獲し、去勢や避妊手術をした後、再び元居た場所に戻す活動を行っています。

NYCFCIは、TNR――すなわち「Trap (ワナ)」、「Neuter (去勢)」、「Return (戻す)」の3原則を元に運営されています。

体を傷つけないワナで捕獲された野良猫は、ワクチンと、去勢や避妊の手術を受けた後、再び開放されます。

捕獲された猫には必ず耳の先端に小さな傷がつけられます。

これによってニューヨークの人たちは、この猫が、NYCFCIに捕獲された個体であることがわかります。

NYCFCIは、ひと月に1,000匹以上の野良猫を捕獲しています。

 

NYCFCIはこれまで、TNRの理念の元に多くの野良猫を、その野生の生活を奪うことなく救ってきました。

里親が見つからない野良猫が処分されている現状において、NYCFCIの活動は、猫や猫を愛する町の人たちにとって高く評価されています。

 

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戻る場所がなくなった野良猫の新しい生き方

 

 

野良猫の開放には問題点もあります。

ニューヨークは開発が盛んなため、数カ月の間に景観が変わってしまうことが少なくありません。

捕獲した猫を治療し手術を施したとしても、開放するときには居場所がなくなっていたり、別の建物が建っていたりすることがあります。

NYCFCIの教育ディレクターであるキャスリーン・オマリー氏は、「猫を元居た場所以外に移すのは最終手段だ」と説明する一方で、不動産や土地の所有者との対立は問題の一つであると話しています。

 

戻る場所を失った猫たちを何とかしようと、NYCFCIはある方法を考えました。

それは野良猫を、必要な人のところへ派遣することです。

 

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解決策は野良猫と人とのマッチング

 

野良猫がニューヨークという大都会で生き抜いていける理由は、彼らの持つ野生の本能にあります。

猫はネズミをはじめ、動くものなら何でも追いかけ捕まえることができます。

一方人間は、猫が本能で追いかけているほとんどのものが好きではありません。

人間が嫌いなものを猫は好む――NYCFCIはこの関係性に着目し、マッチングの機会を見いだしました。

 

NYCFCIは行き場を失った野良猫を、ネズミや害虫駆除を必要としている人に派遣する試みを始めています。

雇われた猫は好物の生き物を追いかけ、雇い主は家を清潔にできるという寸法です。

雇う側は、猫を放し飼いにすることはできず、住居スペースを用意しなければなりません。

また依頼を受けてもすぐに猫を派遣するというわけにはいかず、猫が仕事を覚えるための訓練期間が必要になります。

オマリー氏は「猫が新しい環境と雇い主に慣れるには1カ月かかる場合があるが、よく食事をとり、ケージを通して触れることができていれば、大体はうまくいく」と説明しています。

 

肝心の仕事ぶりはというと、猫のきまぐれさを差し引いたとしても、おおむね及第点が与えられています。

ニューヨークを拠点に活動する非営利団体、米国動物虐待防止協会(ASPCA)のジェシー・オールダム氏は、「猫が全てのネズミを捕らえる保証はない」とする一方で、「社交的でない人にとって、猫が身近にいるのはうれしいことだ」と述べ、猫と人とをマッチングさせる試みには一定の効果があると評価しています。

 

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ニューヨークのクイーンズに住むリチャード・ストイケさん一家は、NYCFCIからローラという猫を雇いました。

ローラは前の飼い主の引っ越しの際、置き去りにされた猫でした。

NYCFCIに厳しくしつけられたローラは、現在熱心にストイケ家のネズミや害虫を捕獲しています。

ローラの寝床は家の外に作られたケージですが、寒い日には暖房パッドが敷かれたガレージの中で過ごしています。

 

快適な環境に対するお礼なのか、ローラは時折、玄関に特別な贈り物(ネズミ)を置いていくそうです。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

野良猫を訓練して派遣するなんてなかなか考え付かないよね

かなで
かなで

町の人たちが猫に寛容なところがいいねー

せつな
せつな

猫好きに悪い人はいない……

 

References:NYCFCI,NewYorkTimes

(※2019年1月の記事に加筆修正を加えました)