アメリカフロリダ州のゲインズビルに住むMarvin Hajosさん(75)が、自分が飼っている珍しい鳥の攻撃を受けて亡くなりました。
Hajosさんは4月12日の午前10時頃に911(アメリカの緊急通報用電話番号)に電話をかけ、自分の農場で飼っている鳥に攻撃されたことを伝えました。
郡保安官事務所の隊員が農場に駆け付け倒れているHajosさんを病院に運びましたが、搬送先で死亡が確認されたということです。
当局はHajosさんの死因について調査中だとしていますが、Hajosさんが受けた傷跡などから、農場で飼われていたオーストラリアとニューギニアに生息する希少な鳥、「ヒクイドリ(cassowary)」が犯人ではないかと報告しています。
Hajosさんは他にも希少な動物を飼っていたようで、パートナーの女性は「彼は彼自信が愛したことをしていました」と地元の新聞に語りました。
ヒクイドリは当局に保護されているということです。
10cmもの長さの爪を持つ巨大な飛べない鳥、ヒクイドリ
フロリダ州魚類野生生物保護委員会によると、ヒクイドリは人に危険をもたらす可能性がある「クラスⅡ野生生物」として識別されており、これらの動物の販売や所有には許可が必要になります。
クラスⅡカテゴリーの中には、ワニやヒョウ、蜂などが含まれていて、委員会はこれらの飼育には相当の経験が必要だと述べています。
ヒクイドリはダチョウやエミューなどの飛べない鳥の仲間で、オーストラリアやニュージーランドの熱帯地方原産の鳥です。
その姿はカラフルで目を惹きますが、彼らを人間にとって危険にしているのはその足に生えている大きな爪です。
爪は長さが4インチ(約10cm)もあり、ヒクイドリの繰り出す強烈なキックは敵を容易に切り裂くことができます。
ワシントンの国立動物園で鳥の世話をしているEric Slovakさんは「もしあなたがあの爪で蹴られたら、それはあなたに多くのダメージを与えるでしょう」と語ります。
そして“あなたは病院にいくことになるでしょう”とも付け加えました。
ヒクイドリは体長2m近くにまで成長し、大きな個体は体重が80kgもあり、それでいて時速50kmの速さで走ることもできます。
Slovakさんは、ヒクイドリは野生では熱帯雨林に隠れているが餌を求めて歩き回るため人間と遭遇する場合もあると語ります。
そして彼らの爪は人間にとって致命的となるため、動物園では飼育の際に細心の注意が払われていると言います。
動物園では飼育係とヒクイドリが同じ環境にいることがないように、囲いに入る場合にはヒクイドリを分離させています。
私たちはヒクイドリと一緒の囲いの中にいることはしません。それは彼らが悪いからではなく、彼らがどれほど危険であるかを知っているからです。
そして事故に遭ったHajosさんが、なぜヒクイドリを飼おうと思ったのかがわからないと首を傾げました。
オーストラリアの「クイーンズランド・パークス&ワイルドライフサービス」のChristopher P. Kofron氏によると、1999年の調査ではヒクイドリの起こした事件が221件記録されており、そのうち150件で人間が攻撃されています。
Kofron氏は、ヒクイドリの攻撃は毎年発生する傾向にあり、特にヒクイドリが人から餌をもらおうとする際と、食べ物や自分の子供たちを守ろうとする際に起きていると述べました。
Hajosさんがどういう経緯でヒクイドリを飼おうと思ったのかはわかりませんが、野生生物は時に人間の想像を超えた行動をします。
ただ珍しいからという理由で動物を飼うのはお互いのためにならないことがある……今回の事故はそんな教訓を教えてくれています。
References:TheWashingtonPost