スイスの研究者はメンフクロウを観察した結果、年長の雛が年下の兄弟姉妹に餌を分け与えていることを発見しています。
メンフクロウの親は平均して6羽の雛を育てますが、その全てが同じように成長するわけではありません。
これは主食とするハタネズミが簡単には分割できないためで、親が運んできたネズミは必然、体の大きな年長者が得ることになります。
通常自然界では、たとえ兄弟姉妹であっても生存競争のライバルであり、餌を得られない個体が大人になれるチャンスはほとんどありません。
しかしメンフクロウは例外です。
メンフクロウの年長者は毛づくろいと引き換えに、困っている弟や妹に食べ物を提供します。
年下に餌を分け与えるメンフクロウ
スイスのローザンヌ大学の進化生物学者であるポーリン・デュクレット氏たちの研究チームは、27羽のメンフクロウの雛を2日間にわたって観察しています。
フクロウには小型のマイクが取りつけられ、全ての動きはカメラに記録されました。
また給餌を親が運んでくる場合と研究者が与える場合の2つのパターンに分け、それぞれの行動の違いも比較しました。
観察結果は、雛同士が行う毛づくろいに一定の法則があることを示しました。
毛づくろいの対象はランダムではなく、もっぱら餌を獲得した年長者に向けられていました。
年長者は餌が残っている場合、それを毛づくろいをしてくれた年下のフクロウに分け与えました。
また一部のケースでは、激しく鳴いている雛にも餌が与えられました。
(Mark Gunn/Flickr)
年長の雛の優しさは常に見られるわけではなく、餌が十分でない場合(親が餌を運んできた場合)には、自分の食べる分を削ってまで分け与えることはしませんでした。
研究者は兄弟姉妹間のやりとりについて、「年下のメンフクロウは毛づくろいの見返りに餌をもらおうとしている」と説明しています。
デュクレット氏は、食事の共有は年下のフクロウだけでなく年長者にとっても恩恵があると指摘しています。
毛づくろいはシラミやノミなどの寄生虫から身を守るのに役立ちます。
また若い個体が生き残ることは、血縁の存続につながります。
研究者は、「メンフクロウの食事の共有は、進化の過程で獲得した利他的および協調的な行動である」と結論づけています。
研究結果はAmerican Naturalistに掲載されました。

見返りを求めない行動は一部の動物でしか確認されていない……

いじわるするよりも仲良くしたほうが幸せだよねー
References: ScienceNews