アメリカ南西部で渡り鳥が大量死 山火事による飛行ルートの変更が原因か

動物
(Credit: Allison Salas/New Mexico State University)

アメリカ南西部のいくつか州で、地面に落下し力尽きたと思われる、大量の渡り鳥の死骸が発見されています。

 

渡り鳥の落下は8月下旬、ニューメキシコ州で最初に報告され、その後コロラド、テキサス、アリゾナなど、他の南西部の州でも見られるようになりました。

渡り鳥の種類は、ツバメ、タイランチョウ、ムシクイなどで、既に何十万もの数が死亡していると推測されます。

原因を調査しているニューメキシコ州立大学(NMSU)の鳥類学者マーサ・デスモンド氏は、現在の状況について、「数百万とは言わないまでも、数十万の鳥が死亡している」と説明し、「これまでにこのようなものは見たことがなく、とても恐ろしいことだ」と話しています。

 

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落下した鳥の目撃者は、鳥が死ぬ前に奇妙な行動をとっていたと報告しています。

鳥たちの多くは木に止まるのではなく、虫を探すために地面を歩いており、ひどく弱々しくフラフラの状態でした。

また人が近づいても逃げる余力がないように見受けられました。

こうした鳥の状態について、NMSUの鳥類学者であるアリソン・サラス氏は、「西海岸の火災と地元の寒冷前線とが相まって、渡り鳥のルートを変えたのではないか」と指摘しています。

 

 

アラスカやカナダの寒い地域から南下してくる渡り鳥は、暖かい中南米にたどりつく前にアメリカ南西部に降り立ち、餌となる虫を探します。

しかし最近起こった西部の山火事は、従来の飛行ルートを遮るほど大規模なものでした。

そのため鳥たちは、食料や水がほとんどないチワワ砂漠に迂回せざるを得なくなり、結果的にエネルギーを蓄える機会を失いました。

地面を這うように歩いていた渡り鳥は、力を使い果たして落下し、必死になって餌を探していた可能性があります。

サラス氏は、「彼らは文字通り骨と羽しかなく、まるで飛べなくなるまで飛んでいたかのようだ」と述べています。

 

鳥の死骸は、オレゴン州の米国魚類野生生物局と、ウィスコンシン州の国立野生動物健康センターに送られて、詳しく検査される予定です。

科学者は鳥の落下に関する情報を市民から募っており、また発見した際には、犬や猫を近づけずストレスを与えないようにと呼び掛けています。

鳥は数日間餌を食べれば体力を回復し、再び越冬地へと飛び立っていきます。

 


 

 

かなで
かなで

気候変動が渡り鳥の移動スケジュールを狂わせてる可能性もあるんだって

せつな
せつな

旅の途中で餌を食べられなければ墜落するのは必然……

 

Reference: ScienceAlert