アメリカ南西部のいくつか州で、地面に落下し力尽きたと思われる、大量の渡り鳥の死骸が発見されています。
渡り鳥の落下は8月下旬、ニューメキシコ州で最初に報告され、その後コロラド、テキサス、アリゾナなど、他の南西部の州でも見られるようになりました。
渡り鳥の種類は、ツバメ、タイランチョウ、ムシクイなどで、既に何十万もの数が死亡していると推測されます。
原因を調査しているニューメキシコ州立大学(NMSU)の鳥類学者マーサ・デスモンド氏は、現在の状況について、「数百万とは言わないまでも、数十万の鳥が死亡している」と説明し、「これまでにこのようなものは見たことがなく、とても恐ろしいことだ」と話しています。
落下した鳥の目撃者は、鳥が死ぬ前に奇妙な行動をとっていたと報告しています。
鳥たちの多くは木に止まるのではなく、虫を探すために地面を歩いており、ひどく弱々しくフラフラの状態でした。
また人が近づいても逃げる余力がないように見受けられました。
こうした鳥の状態について、NMSUの鳥類学者であるアリソン・サラス氏は、「西海岸の火災と地元の寒冷前線とが相まって、渡り鳥のルートを変えたのではないか」と指摘しています。
We have very little data, but suspect that the west coast fires, in combination with the local cold front we experienced last week, has altered the migration patterns of many migrants. On top of that, there is little food and water available here in the Chihuahuan Desert. (7/9) pic.twitter.com/YB2Ct0ucxx
— Allison Salas (@salasphorus) September 13, 2020
アラスカやカナダの寒い地域から南下してくる渡り鳥は、暖かい中南米にたどりつく前にアメリカ南西部に降り立ち、餌となる虫を探します。
しかし最近起こった西部の山火事は、従来の飛行ルートを遮るほど大規模なものでした。
そのため鳥たちは、食料や水がほとんどないチワワ砂漠に迂回せざるを得なくなり、結果的にエネルギーを蓄える機会を失いました。
地面を這うように歩いていた渡り鳥は、力を使い果たして落下し、必死になって餌を探していた可能性があります。
サラス氏は、「彼らは文字通り骨と羽しかなく、まるで飛べなくなるまで飛んでいたかのようだ」と述べています。
鳥の死骸は、オレゴン州の米国魚類野生生物局と、ウィスコンシン州の国立野生動物健康センターに送られて、詳しく検査される予定です。
科学者は鳥の落下に関する情報を市民から募っており、また発見した際には、犬や猫を近づけずストレスを与えないようにと呼び掛けています。
鳥は数日間餌を食べれば体力を回復し、再び越冬地へと飛び立っていきます。
気候変動が渡り鳥の移動スケジュールを狂わせてる可能性もあるんだって
旅の途中で餌を食べられなければ墜落するのは必然……
Reference: ScienceAlert