記録を1,812mも更新!超深海で発見された“ダンボ”のような生き物「ジュウモンジダコ」

動物
(Grimpoteuthis/Public Domain/Wikimedia Commons)

タコやイカなどの頭足類が、深海のどの地点まで潜ることができるのかはよくわかっていません。

超深海と呼ばれる水深6,000m以下の領域で生物の姿をとらえるのは、現代の技術でも困難な作業です。

 

英国ニューカッスル大学と米国自然史博物館の研究チームは、インド洋の7,000m級の深海に潜り生物の観察をした結果、ディズニー映画の「ダンボ」に似た形状をもつ珍しいタコ、「ジュウモンジダコ」を発見したと報告しています。

過去の発見地点の記録を塗りかえる深海での生存の証拠は、頭足類が極めて柔軟な適応力を持っていることを示しています。

 

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発見地点の記録を1,812m更新、ジュウモンジダコの深海への適応力

 

ニューカッスル大学の深海生物学者、アラン・ジェイミーソン博士は、アメリカの投資家で海底探検家である、ヴィクター・ヴェスコヴォ氏の「Five Deeps Expedition」と呼ばれるプロジェクトを主導しました。

ヴェスコヴォ氏とプロジェクトチームは、2018年から2019年にかけて世界の5つの海の最深部に潜水艦を送り込み、海底のマッピングや生物の調査などを行ってきました。

インド洋の海底(ジャワ海溝)へは、2019年の4月16日に到達しています。

 

調査チームはインド洋の底へと潜る際、ジュウモンジダコの姿を2つの地点で確認しました。

最初の遭遇は水深5,760m地点でした。

このケースでは、潜水艦が着地してから2時間25分後にジュウモンジダコが現れ、23分の間、餌を求めて海底を探り続けました。

 

2回目の遭遇は水深6,957m地点で、ジュウモンジダコは潜水艦が停止してから7分後に姿を見せ、船に少しの間関心を示した後、海底で餌探しをしました。

 

Aは5,760m地点、B~Eは6,957m地点で発見されたジュウモンジダコ (Alan J.Jamieson/Michael Vecchione/Marine Biology)

 

この2回目の遭遇地点は、50年前にバルバドス沖の深海で記録された5,145mを大幅に更新するもので、タコという頭足類が、これまでに考えられていたよりもはるかに深い海にまで分布していることを示す証拠です。

研究者はこれにより、頭足類の生存領域は、海全体の75%から99%に拡大したと試算しています。

 

ジェイミーソン博士は、超深海と呼ばれる水深6,000m以下の領域でジュウモンジダコが発見されたことについて、これを可能にしているのはタコの細胞レベルでの適応であると話します。

水深が深くなればなるほど、体にかかる圧力は大きくなります。

博士は、「ジュウモンジダコは細胞内で何か賢いことをしなければならないだろう」と述べ、とてつもない圧力下で破壊されないためには、いくつかのスマートな生化学が必要になるはずだと説明しています。

 

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研究者はジュウモンジダコの2つの地点での発見について、これらは同じ海域での記録であるため、特に超深海での生存の可能性については、グローバルなものなのか、それともこの海域だけの偶然の結果なのかは断定できないとしています。

ジェイミーソン博士は、「ジュウモンジダコは、私たちが気に留めている海の深さについて再考させる」と述べたうえで、今回の研究によって、海の最も深い部分についての誤解が払しょくされることを願う、と付け加えています。

 

研究結果はMarine Biologyに掲載されました。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

ダンボっぽい耳はかわいいけどよく見るとグロテスクだね……

かなで
かなで

超深海は案外いろんな生物で賑わってるのかもねー

 

 

 

References: BBC