南極大陸とその周辺に生息するジェンツーペンギンを調査している研究チームは、遺伝子の分析から、この種が1種ではなく4種であると報告しています。
目の上の白い模様が特徴的なジェンツーペンギンは、他のペンギン種よりも比較的暖かい場所を好み、そのほとんどが南極から少し離れた島に生息しています。
現在ペンギンの種は18ありますが、実際にジェンツーペンギンが4種であった場合、その数は21に増えます。
離れた島に住むジェンツーペンギンは見た目が同じでも違う種
英国バース大学などの生物学者チームは、複数の島にまたがるジェンツーペンギンが同じ種であるかどうかを調べるため、遺伝子分析を行っています。
南極大陸とその周辺に点在する島にはそれぞれジェンツーペンギンが生息していますが、海を隔てた場所にどのように散らばっていったのかはよくわかっていません。
分析ではまず島のジェンツーペンギンからDNAを採取し、そのゲノム配列を記録しました。
次にイギリスやアメリカの博物館を訪れ、そこで展示されているジェンツーペンギンの標本からもDNAを採取しました。
ジェンツーペンギンが一種であった場合、ゲノム配列はどれも同じになります。
しかしそれぞれの比較結果は、ジェンツーペンギンが4つの異なる種であることを示しました。
遺伝的な違いは、南大西洋のフォークランド諸島とサウスジョージア島、南極のサウスシェトランド諸島、南インド洋のケルゲレン諸島の4つの島に住む個体群で確認されました。
これらの島のジェンツーペンギンは、長い間他のペンギンと交わることなく、独自の進化を遂げてきたものと考えられます。
Ecologyand Evolutionに掲載された研究の著者の一人であるバース大学のジェーン・ヤンガー氏は、「ジェンツーペンギンは表面的には非常に似ており見た目で区別するのは難しいが、ゲノムを配列決定すると、それぞれがはっきりと異なっていることがわかる」と述べています。
多くのペンギンの種は、温暖化による生息地の減少や海洋汚染といった脅威に直面しています。
現在ジェンツーペンギンの数は比較的安定していますが、一部の個体群は何十年も監視されておらず、突然失われてしまう危険性があります。
研究者は今回明らかになった種のうち、ケルゲレン諸島とサウスジョージア島の2種については、IUCN(国際自然保護連合)による速やかな評価が必要だとしています。
ジェンツーペンギンが細かく分類されるようになれば保全の意識も変わってくるね
見た目が同じでも種が違う生き物は他にもたくさんいるのかもしれない……
Reference: BBC