世界で最も長生きとされるアホウドリが、ヒナを孵化させたことがわかりました。
2月1日、北太平洋のミッドウェー環礁国立自然保護区でヒナを孵化させたのは、「ウィズダム(Wisdom)」と名付けられたメスのコアホウドリです。
ウィズダムは1956年にアメリカ地質調査所の科学者によってタグ付けされて以降、継続的に追跡調査が行われている鳥で、これまでに30羽以上のヒナを育てました。
タグが付けられた時点での推定年齢は5歳で、そこから計算した場合、ウィズダムの現在の年齢は少なくとも70歳となります。
ミッドウェー環礁国立自然保護区(ミッドウェー島)は、多くの海鳥たちの繁殖地であり、アホウドリの種は毎年100万羽以上がやってきます。
🚨Cute baby alert! Wisdom’s chick has hatched!!! 🐣😍
— USFWS Pacific Region (@USFWSPacific) February 5, 2021
Wisdom, a mōlī (Laysan albatross) and world’s oldest known, banded wild bird is at least 70 years old. Biologists estimate she has had at least 30-36 chicks. https://t.co/cjM8X2clme
📸-Jon Brack/Friends of Midway Atoll NWR pic.twitter.com/voK0kO27ed
2020年12月に産まれた卵の孵化を確認した、アメリカ合衆国魚類野生生物局(USFWS)によると、ウィズダムの父親は2010年から一緒にいるオスです。
アホウドリのつがいは通常一生を添い遂げますが、ウィズダムのような寿命の長い個体の場合、片方の死亡などによってパートナーが変わることもあります。
USFWSの生物学者であるベス・フリント博士は、「アホウドリは必要に応じてパートナーを見つけることができます。たとえば相手よりも長生きする場合などです」と述べています。
人間の基準で考えた場合、70歳での出産は偉業です。
しかし動物界においては、必ずしも異例であるとは言えません。
オーストラリアの鳥類保護団体BirdLife Australiaのショーン・ドゥーリー氏は、「多くの野生動物は老齢まで生産的です。繁殖を終えた後の寿命が長いのは、霊長類とクジラだけです」と説明し、ウィズダムの高齢での出産については、「人間にとっては驚くべきことですが、アホウドリにとって当たりまえなのかどうかは、まだ判断できません」と述べています。
天敵の少ない外洋に生息するアホウドリは、多くの卵を産むのではなく、一匹を大切に育てるやり方で繁栄してきました。
コアホウドリも一年で一つの卵しか産まず、親は孵化から巣立ちまでの半年以上の間、つきっきりで面倒を見ます。
しかしアホウドリは近年、漁業の網や水温の変化に伴う餌場の移動により、数が減ってきています。
親鳥が死んでしまった場合、子供の数が少なく、かつ成長の遅いアホウドリは、近い将来姿を消してしまうおそれがあります。
ドゥーリー氏は、「ウィズダムの種は気候変動の影響を受けており、餌を見つけるために広範囲を飛ばなければならなくなった」と述べています。

タグの記録によると、ウィズダムは1956年以降で480万キロ以上飛行してるんだって

地球120周分……すごい生命力だ……
Reference: The Guardian