推定年齢70歳のコアホウドリ 今年も無事にヒナを孵す

動物
(John Klavitter/U.S.Fish and Wildlife Service/Public Domain)

世界で最も長生きとされるアホウドリが、ヒナを孵化させたことがわかりました。

2月1日、北太平洋のミッドウェー環礁国立自然保護区でヒナを孵化させたのは、「ウィズダム(Wisdom)」と名付けられたメスのコアホウドリです。

ウィズダムは1956年にアメリカ地質調査所の科学者によってタグ付けされて以降、継続的に追跡調査が行われている鳥で、これまでに30羽以上のヒナを育てました。

タグが付けられた時点での推定年齢は5歳で、そこから計算した場合、ウィズダムの現在の年齢は少なくとも70歳となります。

ミッドウェー環礁国立自然保護区(ミッドウェー島)は、多くの海鳥たちの繁殖地であり、アホウドリの種は毎年100万羽以上がやってきます。

 

 

2020年12月に産まれた卵の孵化を確認した、アメリカ合衆国魚類野生生物局(USFWS)によると、ウィズダムの父親は2010年から一緒にいるオスです。

アホウドリのつがいは通常一生を添い遂げますが、ウィズダムのような寿命の長い個体の場合、片方の死亡などによってパートナーが変わることもあります。

USFWSの生物学者であるベス・フリント博士は、「アホウドリは必要に応じてパートナーを見つけることができます。たとえば相手よりも長生きする場合などです」と述べています。

 

人間の基準で考えた場合、70歳での出産は偉業です。

しかし動物界においては、必ずしも異例であるとは言えません

オーストラリアの鳥類保護団体BirdLife Australiaのショーン・ドゥーリー氏は、「多くの野生動物は老齢まで生産的です。繁殖を終えた後の寿命が長いのは、霊長類とクジラだけです」と説明し、ウィズダムの高齢での出産については、「人間にとっては驚くべきことですが、アホウドリにとって当たりまえなのかどうかは、まだ判断できません」と述べています。

 

スポンサーリンク

 

天敵の少ない外洋に生息するアホウドリは、多くの卵を産むのではなく、一匹を大切に育てるやり方で繁栄してきました。

コアホウドリも一年で一つの卵しか産まず、親は孵化から巣立ちまでの半年以上の間、つきっきりで面倒を見ます。

しかしアホウドリは近年、漁業の網や水温の変化に伴う餌場の移動により、数が減ってきています。

親鳥が死んでしまった場合、子供の数が少なく、かつ成長の遅いアホウドリは、近い将来姿を消してしまうおそれがあります。

ドゥーリー氏は、「ウィズダムの種は気候変動の影響を受けており、餌を見つけるために広範囲を飛ばなければならなくなった」と述べています。

 


 

 

かなで
かなで

タグの記録によると、ウィズダムは1956年以降で480万キロ以上飛行してるんだって

せつな
せつな

地球120周分……すごい生命力だ……

 

Reference: The Guardian