体の下半分が透けている樹上性のカエル「グラスフロッグ (Glass frog)」は、その不思議な形状から、生物学者を始めとする多くの人の関心を集めてきました。
半透明の皮膚は内臓や血の流れも確認できるほどですが、なぜこの形態に進化したのかについては明確な答えが出ていません。
新しい研究によると、グラスフロッグの透明な足は、敵に見つかるのを防ぐ効果があります。
グラスフロッグの透明な足は敵の目を欺くカモフラージュ
カナダのマクマスター大学と英国ブリストル大学の研究者チームは、中南米の熱帯雨林に生息するグラスフロッグの半透明の謎を解くべく、いくつかの実験を行っています。
体長3cm~7cmほどのグラスフロッグは、敵から捕食されるのを防ぐため、透明な体をカモフラージュに使っていると考えられています。
しかしそれがどのようなメカニズムで、敵の目を欺いているのかはよくわかっていません。
研究チームは3つの実験を行っています。
1つ目は55匹のグラスフロッグを、葉と白い背景の上で撮影し、カエルの体の色を分析しました。
その結果、背景によって体の見え方には違いがない一方、半透明の足がカモフラージュ能力に大きな影響を与えていることがわかりました。
透明な足は背景の輝度に作用することで、敵から発見されるのを防いでいました。
これはヘビ、鳥、人間などのコンピューターモデルで観察した場合でも同じ結果でした。
足が半透明なグラスフロッグは背景に溶け込む (Brian Gratwicke/Flickr)
2つ目の実験は、葉の生い茂る背景に透明度の異なるカエルを置いた画像125枚を用意し、20人の参加者が、写真の中のカエルをどれだけ早く見つけ出せるかを記録しました。
結果は予想通りで、透明度の高いカエルほど見つけるのに時間がかかりました。
最後の実験では、ゼラチンで作った半透明のカエル180匹と、不透明のカエル180匹を植物園に置き、実際の鳥がどちらを多く捕食するのかを観察しました。
72時間後のカウントは、不透明なカエルが53匹、半透明なカエルが24匹でした。
これら3つの実験結果は、透明なカエルがそうでないカエルよりも、敵に見つかりにくいことを証明しています。
米国科学アカデミー紀要に掲載された研究の著者の一人で、マクマスター大学のジェームズ・バーネット博士は、「完全に透明な種ほどではないが、グラスフロッグが半透明であることは、捕食者から自分自身をカモフラージュするのに役立っている」と話しています。
メルボルン大学の動物の色と行動の専門家であるデヴィ・スチュアート-フォックス教授は、「この研究は、動物のカモフラージュのもう一つの形を示すものだ」と述べ、自然界の多様性には驚かされると付け加えました。
またグラスフロッグについては、「足が半透明であるため、体の端が見分けにくくなっている」と説明し、体の輪郭を隠すことは、カモフラージュを強化する効果的な戦略だと話しています。

上空からだと足がぼやけて背景に溶け込むから、鳥が見つけにくいんだね

体の上の部分も透明だと、血流とか内臓で逆に目立っちゃうのかも
References: The Guardian