イギリスで最もカモメがいる町の一つブリストルで行われた実験は、鳥のもつ柔軟な適応力を明らかにしています。
海辺の町ブリストルには多くのカモメが生息しています。
この鳥はとても賢く、屋外で食事をしているといつの間にか現れ、食べ残しにありつくべく屋根の上で待ち構えています。
野生の動物は餌となる生き物の行動パターンをよく知ってており、その情報を元に効率的な狩りをします。
一方都市のカモメは、人間から間接的に餌を得ることに特化しています。
これはカモメが人間の行動を見て学習している可能性を示唆するものですが、詳しいことはよくわかっていません。
ブリストル大学の研究者は、都市のカモメの採餌行動を理解するため、複数の場所で観察を行っています。
カモメが食事どきにやってくるのは偶然ではなく、人間の生活パターンを記憶しているからです。
都市のカモメは餌を得るために人間の生活パターンを利用している
ブリストル大学の生態学者であるアヌーク・スペルト氏の研究チームは2018年の夏、12羽のニシセグロカモメ(Lesser black-backed gull)にGPS装置を取りつけ、その行動を追跡調査しています。
観察は1カ月にわたって行われ、公園、学校、ゴミ処理場の3か所で、1日最大12時間、15分ごとに、カモメと周囲の人間の数、そして餌の入手率が記録されました。
学校で最も多くのカモメが現れた時間帯は、11時15分と12時45分でした。
この時間はちょうど休み時間にあたり、子供たちは校庭に出ておやつやランチを食べていました。
カモメが休み時間にやってくることは、子供たちにもよく知られていました。
カモメの数は平日に多く、週末には減りました。
ゴミ処理場のカモメは、学校とは異なる時間帯に登場しました。
施設の稼働中、カモメは建物の屋根や積み上げられたゴミの山に点在していましたが、最も多くのカモメがやってきたのは、収集車が新たなゴミを追加したときでした。
施設が閉まった後、カモメの姿は確認されませんでした。
公園では人のいない早朝に多くのカモメが現れました。
この時間帯に外で食事をする人間はいませんでした。
カモメは人から食べ物を得る代わりに、本来の餌であるミミズや昆虫などを食べていました。
これらの餌は朝に活発になります。
3か所での観察は、カモメが餌を効率的に得るために、最も適した場所と時間を選んでいることを示しています。
スペルト氏は、「カモメは積極的に餌を探す代わりに、座って待つアプローチを採用したようだ」と述べています。
学校やゴミ処理場が静かな時、カモメは近寄りもしませんでした。
通常、野生動物にとって都市での生活は困難です。
しかし都市のカモメは人間の生活パターンを学習し、安定して餌を得る術を獲得しました。
カモメは過去の研究でも、人間の触ったものを安全とみなしていることが明らかになっています。
研究者の一人であるブリストル大学のシェーン・ウィンザー氏は、「都市のカモメは入手可能性に応じて、採餌スケジュールを適応させることができる」と述べ、調査結果について、「カモメの行動の柔軟性を浮き彫りにしたものだ」と強調しています。
研究結果はIbisに掲載されました。
野生のカモメは減ってきてるみたいだよ
カモメは都市に適応することで生き残りを図っているのかもしれないな
References: University of Bristol,ScienceAlert