先日ロンドン動物学会が開催した会議では、現在世界各地で横行している野生生物や絶滅危惧種の違法な売買をどうすれば止めることができるかについて、専門家たちが多くの意見を交わしました。
世界には希少な生物を売買する組織が存在しており、一部の金持ちや疑わしい薬効を信じる人のために活動しています。
違法な野生生物の取引は、薬物、銃、人身売買に次いで世界で4番目に収益性の高い犯罪です。
特にサメの被害が顕著、フカヒレが金持ちのための食べ物に
会議では、主要な絶滅危惧種であるゾウ、サイ、センザンコウ、ヨーロッパウナギ、タツノオトシゴなどの置かれた状況について踏まえつつ、それらが違法に取引されている現状にどう対処していくのかが議論されました。
会議主催者のトム・レテシエ氏は、現在最も懸念される違法な野生生物の取引はサメの密売であるとし、特にインド洋でのオグロメジロザメとオナガザメの被害が顕著であると述べました。
レテシエ氏は「彼らのヒレは切り落とされサメは海に捨てられます」と語り、ヒレが東南アジアの金持ちの宴会のための食べ物になっている実情を明らかにしました。
多くのサメの種は成長するのに長い時間がかかるため、集中的な漁による個体数の減少は、種全体を脆弱にします。
上で挙げられた2種のサメたちも現在生息数が急速に減少しており、近い将来絶滅のおそれがあるサメです。
ではこうした違法な取引をやめさせるためには何ができるでしょうか。
違法取引の監視と抱える課題
レテシエ氏は一つの案として、「衛星やドローンによる監視」を挙げています。
氏は、現在「合成開口レーダー(ごうせいかいこうレーダー)」と呼ばれるアンテナを衛星に取りつけることで、非常に詳細な画像を空から取得することが可能になっており、そのような技術を取り入れることで、海での違法な操業を宇宙から監視することができるようになると説明しました。
しかし監視精度を上げるだけでは根本的な解決には結び付きません。
レテシエ氏は、「なぜ違法な野生生物の売買に人々が目を向けるのかについて理解する必要がある」と述べ、漁師の社会的な背景についても議論されるべきだと主張しています。
サメの違法売買はお金になりますが、関わる人たちの多くは元々漁師として地元で仕事をしてきた人たちです。
環境の変化などによる魚資源の減少が、漁師たちを違法なサメの捕獲に向かわせた可能性は否定できません。
ロンドン動物園の海洋生物学者であるフラン・カバダ氏は、レテシエ氏の意見に賛同する一人です。
カバダ氏は世界中の漁師は海と密接な関係をもっていると述べます。
工場などで別の仕事を見つけたとしても、彼らはそれを引き受けたがらないでしょう。たとえ仕事が違法であったとしても彼らは海でできる仕事を好みます。
カバダ氏は海での野生生物の違法取引を減らすためには、そこで生きる人たちの社会的、経済的な要素も含めて考える必要があると話しています。
ロンドン動物園によると、野生生物の取引をする犯罪者たちは組織的に動き、季節ごとでターゲットとする動物を変えています。
例えばイギリスでは、今後数カ月にわたってヨーロッパウナギが違法に捕獲され、日本やアメリカのウナギに偽装されて世界中に出荷されます。
ヨーロッパウナギは現在著しく生息数が減少していて、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは「近絶滅種(絶滅寸前の種)」に分類されています。
最近では魚の遺伝子検査技術によって、違法な魚が港に入荷してきていないかを知る方法も出てきています。
しかしロンドン動物園は、遺伝子検査技術のような手法はそれが主張するような完璧なものではないとし、違法生物の取引に関わる問題は現在進行中の戦いであると強調しています。
新しい技術が違法な操業を発見できるようになったとしても、それに従事する人たちの社会的、経済的な問題が解決されなければ、野生生物の取引がなくなることはありません。
違法取引を取り締まっても買う人がいる以上根絶するのは難しい……
フカヒレのために殺されるサメたちがかわいそうだよ~
漁師の人も仕方なくやってる部分があるみたいだし、一筋縄ではいかない問題なのかもしれないね
References: The Guardian