アメリカのある町ではヤギを集めて仕事をしてもらおうとクラウドファンディングでの寄付を呼びかけています。
カリフォルニア州にある小さな町ネバダシティでは、最近の森林火災の増加を受けてその対策に迫られていました。
カリフォルニアは元々地形や気候の関係で山火事が起きやすい場所で、ネバダシティは2018年に多くの犠牲者を出した地域から50マイルほどしか離れていません。
火災を起こしやすい可燃性の草木を刈るにはお金と人手がかかります。
そこでネバダシティの副市長であるReinette Senum氏は妙案を考え付きます。
それはヤギを放って草木を食べてもらうことでした。
クラウドファンディングサービス「Go Fund Me」を利用した「Goat Fund Me」(ゴートファンドミー)と名付けられたプロジェクトは、市内の住宅地に近い場所でヤギを放ち、下草や燃えやすい木々を食べてもらおうという試みです。
この地域特有の強い風はこれまで幾度にもわたり火災を引き起こしてきました。
今回のヤギ導入は森林に近い場所にある住宅を火災から守るためのものです。
対象となる土地はおよそ450エーカー(東京ドーム約40個分)もの広さになります。
担当者によると通常1エーカーの広さを除草する場合、専門家に対して500~1000ドルを払う必要があるといいます。
しかしヤギの放牧の場合200頭がいれば1日で1エーカー分の仕事をします。
そして素晴らしいことに彼らは冬の間黙々と草を食べ続けてくれるのです。
450エーカー分の仕事全てをヤギに任せるというわけにはいかないようで、市によればより緊急性の高い場所から徐々にヤギの放牧をしていくということです。
またヤギを監督する指導員や、彼らが”仕事中”であることを知らせる立て看板の設置、その他のボランティアについても協力を呼びかけました。
副市長のSenum氏は小さい時からこの町に住んでいて愛着があると語ります。
またこのネバダシティに住む人々全てが自然を愛し自然の中で暮らしているとも述べました。
そして将来の森林火災から身を守るために市民自らが立ち上がらなければならないことを強く訴えています。
ファンドは30000ドルを集めることを目標にしています。
(1/21現在20000ドル近くが集まっています)
ヤギは一年を通じて周囲の牧場で仕事(乳製品や繊維の素材など)をしています。
しかし冬場はヤギの仕事に比較的空きが出るのと、乾燥による火災の発生率が高まる季節であることから、今回のような試みは効率的な防火対策になると市の担当者は考えています。
森林火災は住宅の場合と違って何日も燃えつづけその被害も甚大です。
毛を刈られ乳を搾られさらには草も食べなければならないヤギさんたちですが、彼らの活躍で多くの人や自然が守られるのならばちょっとは大目にみてくれるのではないでしょうか。
自然と共に生きる小さな町ならではの今回のヤギプロジェクトがうまくいくことを願います。
Source:LosAngelesTimes,GoFundMe