オーストラリアのカンガルー島で、世界一小さなポッサムの姿が確認されています。
2019年から2020年にかけて起きた大規模な森林火災は、アデレードの南に位置するカンガルー島やオーストラリア東部に生息する野生動物の住処を奪いました。
カンガルー島では総面積のほぼ半分が焼失し、多くの固有種が犠牲となりました。
世界最小のポッサムが確認されるのは、森林火災以降では今回が初めてです。
最も小さなポッサム「チビフクロヤマネ」
カンガルー島で動植物の保護活動を行っている「カンガルーアイランド・ランド・フォー・ワイルドライフ (KI LfW)」は、森林火災以降、生態系の現状を把握するため、島全体で調査を重ねてきました。
これまでに20の地点で、火災を生き延びた動物200以上が捕獲されています。
最も小さなポッサムの種である「チビフクロヤマネ(Tasmanian pygmy possum)」もそのうちの一つです。
左がWestern pygmy possum、右がチビフクロヤマネ (Credit: Kangaroo Island Land for Wildlife)
体長が7センチ前後、体重が10グラムほどしかないチビフクロヤマネは夜行性の有袋類で、生活のほとんどを樹上で過ごします。
チビフクロヤマネはその小ささもあり動向をつかむのが難しく、カンガルー島の個体については悲観的な見方もありました。
The status of the little pygmy possum (cercartetus lepidus) was unknown pre 2020 bushfires on #kangarooisland. With most of its habitat severely burnt we are happy to have detected the species for the first time since the fires in the largest unburnt patch #BushfireRecoveryAU pic.twitter.com/tSRjPunDZ8
— Pat Hodgens (@terrainecology) December 4, 2020
KI LfWの生態学者であるパット・ホジェンズ氏は、「生息範囲の約88%が燃やされたため、チビフクロヤマネが生きているかどうかは本当にわからなかった」と振り返り、「この捕獲は、火災を生き延びたチビフクロヤマネの最初の記録である」と述べています。
チビフクロヤマネを狙う捕食者は多く、今回の調査では、野良猫の胃の中から死体が確認されています。
また高い木の焼失は、生活場所の変更を余儀なくさせており、新たな捕食者を招くことにもつながっています。
ホジェンズ氏は、「種としてのチビフクロヤマネは、非常に危険な状態にある」と述べ、「私たちには、これらの種を保護し、将来も生きられるようにする義務がある」と強調しています。

カンガルー島の動物が火災前の状態に戻るには、数十年かかるかもしれないんだって

固有種が多いから何とかして守っていきたいものだな
References: Kangaroo Island Land for Wildlife,The Guardian