オーストラリアのニューサウスウェールズ国立公園および野生生物局(NSW National Parks and Wildlife Service)は、州内にあるカプター山に生息する絶滅危惧種のナメクジの写真を公開しました。
昨年から続いている森林火災は、カプター山に住むナメクジやカタツムリといった軟体動物にも影響を与えています。
最近の降雨の後、山を訪れたレンジャーは、約60匹のピンクナメクジを発見し、Facebookに「コアラやワラビーほど可愛くないかもしれないが、この種は生態系に重要な役割を果たしている」と書きました。
このカプター山にだけ生息するピンクのナメクジ(Triboniophorus sp.nov.’Kaputar’)は、2013年に初めて新種であると確認されるまでほとんど研究されてきませんでした。
最大で20㎝にもなるピンクナメクジは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて絶滅の危機(Endangered)にある種に分類されています。
オーストラリア博物館の軟体動物学の上級科学研究員フランク・コーラー氏は、「カプター国立公園には約20種のナメクジやカタツムリの固有種がおり、この場所は絶滅危惧種の生態学的コミュニティとなっている」と述べます。
コーラー氏は、ナメクジやカタツムリは鳥や哺乳類の餌になるため生態系の基盤であると説明し、種は他の種から独立して存在することができないため、火災などの環境への影響に対して全ての種を維持するよう努めなければならないと強調しました。
またピンクナメクジが生きていたことについて、「暑さのために岩の隙間に後退していたことが理由」としたうえで、樹皮や樹木で冬眠していたナメクジの約90%は火事で死んだだろうと付け加えました。
そしてナメクジは今後数カ月の間、焼け野原で空腹の鳥や哺乳類から発見されやすくなるものの、その明るい色は捕食者を思いとどまらせるのに役立つかもしれないと話しました。
ピンクナメクジに迫る危機は火災だけではありません。
このユニークなナメクジはカプター山の山頂付近にしか生息していないため、温暖化が進み山の気温が上昇すると変化に適応できなくなる可能性があります。
コーラー氏は、「2度の温暖化だけでコミュニティ全体を一掃できる」と述べ、気温が上がってもこれ以上高い場所に移動できないことから、ナメクジが気候の変化に適応できなければ絶滅する可能性が高いと指摘しました。
現在カプター国立公園は、森林火災の影響により2月28日まで立ち入り禁止となっています。

ちょっと見た目がアレだけどナメクジだって生態系には欠かせない動物なんだよー

この色なら敵から襲われにくくなるに違いない……
References: The Guardian,CNN