豊富な固有種を火災の被害から守れるか、オーストラリアのカンガルー島で始まった保護活動

動物
(Shou-Hui Wang/Flickr)

世界の50ヵ国以上の国や地域で動物を保護する活動をしている「ヒューメイン・ソサエティ・インターナショナル(Humane Society International-HSI)」は、オーストラリアの南に浮かぶカンガルー島で火災の被害を受けている動物たちを救うため、新たな拠点を設立したと発表しました。

カンガルー島は全長160㎞ほどの島で、コアラやカンガルー、ワラビーだけでなく、多くのオーストラリアに固有の動物種が暮らす観光客にも人気のスポットです。

森林火災は、島にある保護区、フリンダーズ・チェイス国立公園内で起きた落雷から始まりました。

火は瞬く間に燃え広がり、公園の生態学者はこの場所に生息していたコアラ25,000頭が死亡したと推定しています。

この数はカンガルー島全体に生息しているコアラの約半分です。

一つの落雷から始まったカンガルー島での火災は、これまでに島の3分の1以上を燃やし、多くの動物の命を奪いました。

 

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カンガルー島は多くの固有種が乗る“小さなノアの箱舟”

 

HSIが新たに設立した拠点は、負傷した野生動物を救い、最終的には再び野生に返すことを目的としています。

 

HSIのオーストラリアのプログラム責任者であるエヴァン・クォーターメイン氏は、現在のカンガルー島の被害を説明するのは難しいと語ります。

 

それは非常に感情的です。ある場所では別の動物の死体を見ずに10m歩くことができませんでした。

 

Photo: Evan Quartermain/Humane Society International

 

生態学者たちはカンガルー島の動物たちが火災の被害を受けていることに対し、それが固有種の絶滅につながるおそれがあるとして懸念を示し始めています。

特にダンナート(Kangaroo Island dunnart)と呼ばれるこの島に固有のフクロネコ科の動物や、テリクロオウム(glossy black-cockatoo)といった鳥は絶滅が危惧されており、この狭い島で火事が広がっていくと致命的な影響を受けるおそれがあります。

ダンナートは1969年に初めて文献に記述された動物で、現在の生息数は500頭以下と推測されています。

地元の野生生物保護団体「ランド・フォー・ワイルドライフ(Land for Wildlife)」の生態学者ハイディ・グロフェン氏は、カンガルー島は絶滅危惧種の保護区であり、言い換えれば、それは「小さなノアの箱舟」であると語っています。

 

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HSIが設立したカンガルー島のグループは、地元の保護団体と共に活動をしています。

合同チームには、災害対応の世界的専門家であるケリー・ドニサン氏が参加しています。

 

傷ついたワラビーを保護するケリー・ドニサン氏 Photo: Evan Quartermain/Humane Society International

 

ドニサン氏はカンガルー島の惨状を、これまで見てきた中で最悪なものの一つであると述べます。

 

目標はできる限り動物たちを野生に戻すことです。しかし残念なことに景観があまりにも破壊されているため、動物たちが食べたり飲んだりするものがありません。

 

ドニサン氏は、助けた野生動物は人間の手で保護する必要があると話す一方、いくつかの酷い火傷をしていた動物に、唯一の選択肢として安楽死の措置が取られたことも明らかにしました。

 


 

NASAが運用している地球観測衛星テラは、カンガルー島の火災被害を空から撮影しています。

 

2019年12月16日の衛星画像 Credits: NASA Worldview

2020年1月7日の衛星画像 Credits: NASA Worldview

 

2019年12月16日と2020年1月7日の画像は、ごく短期間で島の半分近くの面積に火の影響が及んでいることを示しています。

 

連邦政府は1月13日、今回の火災被害に対し、野生動物の救助と保護を支援するため5,000万ドルの資金を提供すると表明しています。

HSIは政府の行動を歓迎しつつも、動物たちを救うためにはさらなる支援が必要であると訴えています。

 


 

 

かなで
かなで

火が消えても森には食べるものがないんだよね……はやくなんとかしてあげてー!

せつな
せつな

一匹でも一頭でも多くの動物が救われてほしい……

 

References: The Guardian,NASA