中国は、漢方薬などの伝統的な薬のリストからセンザンコウを外し、その保護を強化していく姿勢を明らかにしています。
中国の新聞Health Timesによると、中国当局はセンザンコウの保護レベルを最高水準にまで引き上げる決定をした後、伝統的な薬の公式リストから鱗や肉などの部位を除外しました。
アジア地域を中心に8種が確認されているセンザンコウは、その全てが国際法で保護されており、中国に生息するものを含む3種に関しては、IUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧種に指定されています。
中国では多くの野生動物が薬の原料として取引されていますが、その効果については科学的な根拠に乏しいものも多く、保護団体は無意味な捕獲と利用をやめるよう長い間当局に働きかけてきました。
中国の野生動物の市場、いわゆるウェットマーケットについては、新型ウイルスの発生以後世界から厳しい目が向けられています。
センザンコウは効果がないにもかかわらず違法に取引されている
今回のセンザンコウへの措置は、公衆衛生の面だけでなく、種の保護活動に関わる人たちにとっても朗報です。
センザンコウを守る活動を行っているSave Pangolinsのポール・トムソン氏は、中国の決定について「画期的なものだ」と評価し、「伝統的な薬のリストからセンザンコウが外れれば、我々が待ち望んでいた変化が起きる可能性がある」と話しています。
動物保護団体World Animal Protectionのキャサリン・ワイズ氏は、「これは素晴らしいニュースだ」と述べる一方、規制の範囲が限定的であることを問題点に挙げています。
ワイズ氏は、「薬の材料として捕獲される動物は、皆劣悪な環境に閉じ込められており、それは致命的な病気の温床になる」と説明し、中国は、センザンコウだけでなく他の野生動物の取引も禁止するべきであると強調しています。
センザンコウの肉は健康や性的利益を期待する人に好まれており、また鱗は伝統的に中国医学で利用されてきました。
成分分析からは鱗に望むような効果がないことがわかっていますが、現在でも、主に中国や香港向けに違法な取引が行われています。
自然保護団体WildAidによると、年間20万匹のセンザンコウがアジアで消費されており、2019年に押収された肉や鱗の量は130トンを超えました。
センザンコウについては新型コロナウイルスの発生源とみる専門家もいますが、現時点では関連を示す証拠は見つかっていません。
中国や香港へはアフリカのセンザンコウも入ってきてるみたい
他の野生動物の取引も早く規制してほしいね
References: BBC,The Guardian