オーストラリアの研究者は、複数の鳥を分析した結果、よく遊ぶ鳥ほど賢い鳥であると報告しています。
これまで鳥類の賢さは、道具の使用と結びつけられてきました。
一般的に物を扱える動物はそうでない動物よりも、脳が大きく賢いものと考えられています。
新しい研究は、鳥の脳の大きさが道具の使用ではなく、遊びに影響を受けていることを明らかにしています。
よく遊ぶ鳥は脳が大きく寿命が長い
ニューイングランド大学の動物行動学者であるギーゼラ・カプラン氏は、脳の大きさと遊びの関係性を調べるため、オーストラリアやニュージーランドに生息する鳥を比較、分析しています。
動物の世界では遊びは普遍的な行動ではなく、子供のときだけ遊ぶ種もいれば、まったく遊びをしない種もいます。
鳥も同様で、一生を通して遊び続ける種は稀です。
研究では賢さの指標として、道具の使用の他に、遊びの有無と種類、頻度を加えました。
得られたデータは、体に対する脳の大きさと寿命で分類されました。
分析の結果、道具の使用は鳥の賢さとは無関係であることがわかりました。
道具を使う鳥も使わない鳥も、脳の大きさや寿命の面で有意な差は認められませんでした。
一方で、よく遊ぶ鳥の脳は、遊ばない鳥よりも大きくなる傾向がありました。
脳の大きさは、遊びの種類によって異なりました。
分析では遊びを3つのカテゴリーに分けています。
一つ目は、一匹だけで遊ぶ「一人遊び」。
二つ目は、「物を使った遊び」。
そして三つ目は、仲間と一緒に行う「社会的な遊び」です。
鳥は表現豊かな動物で、その遊びには、走る、スキップする、ジャンプする、転がる、ぶら下がる、揺れるなど様々な動きが確認されました。
脳が最も大きく発達していたグループは、社会的な遊びをする鳥でした。(次点が物を使う鳥、最下位が一人遊びの鳥)
なかでもオウムやセキセイインコ、マグパイはとても賢く、子供時代だけでなく、大人になってからもよく遊んでいました。
セキセイインコ (Laurie Boyle/Flickr)
遊びは寿命にも関係していました。
遊ぶ鳥全体の平均寿命は約35年で、遊ばない鳥の平均寿命約17年を大きく上回りました。
社会的に遊ぶ鳥はさらに長生きで、その平均寿命は約47年でした。
これらの結果は、鳥の賢さと寿命が、道具の使用ではなく遊びに関連していることを示唆しています。
分析を行ったカプラン氏は、「遊ぶ種と遊ばない種の違いには本当に驚かされた」と振り返り、「道具の使用にかかわらず、社会的に遊ぶ鳥は最大の脳を持っており、また寿命も長い」と述べています。
脳の大きな鳥が遊びを好む理由はよくわかっていません。
また「遊びが脳を発達させたのか」、それとも「脳が大きいから遊ぶのか」といった疑問も残されています。
カプラン氏は、「鳥の知性を論じる際、遊びという要素を考慮しなければ、誤った結論につながる可能性がある」と述べ、“道具は使うが遊ばない鳥”についても、研究を始める必要があると指摘しています。
研究結果はScientific Reportsに掲載されました。
一人遊びが好きな鳥は寿命が短いのか……
まったく遊ばない鳥よりは頭が良くて長生きみたいだよ
Reference: ABC News