ただじっと見つめるだけ、カモメを撃退する画期的な方法

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Image by Mona El Falaky from Pixabay

人間の食事を虎視眈々と狙うカモメに対して有力な撃退方法が発見されました。

方法は実に簡単――ただじっとカモメを見つめる、それだけで効果があります。

 

イギリスの科学者たちが行った実験は、屋外でのランチタイムを荒らすカモメを撃退するだけでなく、野生生物と人間とが共存していくための“やさしい”方法を提案しています。

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じっと見つめるだけ――カモメは人間の視線を嫌う

 

イギリスエクセター大学のマデリン・グーマス氏が率いる研究チームは、カモメの窃盗行動が人間の行動に影響されるかどうかについて調べています。

研究の対象となった「セグロカモメ」は主に海岸や河口などに住んでいる種ですが、近年は都市部で繁殖する例があり、人間社会との接触の機会が増えています。

セグロカモメは人間の食べ物を狙うだけでなく、いわゆる“スカベンジャー”としてゴミを荒らし、人を含む脊椎動物の消化管などに寄生するクリプトスポリジウムの媒介者でもあります。

 

セグロカモメは人間との対立がきっかけで、イギリスにおいては1969年から2015年までの間にその個体数が約60%減少し、国内のレッドリストに登録されました。

しかし一方で都市部では繁殖しており、研究者たちはセグロカモメの個体数を維持しつつ、人間との共生を可能にするような方法がないかを模索し続けています。

実験はこうした背景を元に行われました。

 

Photo byPeter O’Connor aka anemoneprojectors | Flickr

 

実験は透明なフリーザーバッグにフライドポテトを入れ、それをカモメの群れの目につくところに置くことから始めました。

研究者はストップウォッチを使いカモメが餌に近づくまでの時間を測定します。

さらに餌に近づくカモメを人間がじっと見る場合とそうでない場合との時間差も記録していきました。

 

実験の対象となったカモメは74羽で、そのうちの19羽が餌を置いてから300秒以内に行動を始め、最終的に餌の場所までたどりつきました。(残りのカモメは警戒して近づかなかったり、設定した時間をオーバーしたりしたためデータには加えられませんでした)

この19羽のカモメのうち、人間にじっと見られていた個体はそうでない個体と比べ餌に到達するまでの時間が長いことが判明しました。

データによれば、人間に見られていたカモメは平均21秒その行動が遅くなりました

 

なぜカモメは人に見られることで行動を遅らせるのでしょうか。

研究者たちは彼らの行動を決定づける背景に“学習”の要素があると考えています。

 

これはカモメが都市環境で採餌行動をする際に人間の行動を観察しその視線を嫌悪することを示しています。人間によって追いやられた個体は、視線とそれがもつ潜在的な危険性について学習しているかもしれません。

 

研究者たちは、なぜ“人の視線”がカモメに有効であるのかはいまだわからないとしながらも、人間側のちょっとした行動が彼らとの接触を避けることにつながり、それはカモメの個体数の維持にも有効であるとしています。

 


 

セグロカモメは元々人間の食事――特に油で加工された食品――を食べてはきませんでした。

しかし都市部で繁殖しているセグロカモメたちは、ゴミをあさったり、人間のランチタイムやバーベキューでのひと時を襲撃することを覚えてしまいました。

カモメにとっての自然な食事――魚や他の鳥の卵、カニやウニなどといった無脊椎動物――が、人間の食べている加工食品に変化することは、彼らの生態に今後重大な変化をもたらす可能性があります。

研究者たちは今回の結果を踏まえ、人間とセグロカモメが共生できる道を探りつつ、彼らの食事傾向の変化が将来の生態系に及ぼす影響についてさらなる調査を続ける予定です。

 

 

 


 

ただ相手を見つめるだけでゴミを荒らされたりせっかくのランチを奪われたりすることがなくなるのであればやってみる価値はあります。

 

動物の食事傾向の変化が人間社会に与える影響は身近な問題になっています。

今回の研究はセグロカモメだけを対象にしたものでしたが、ハトやカラスといった鳥たちについても研究が進むことで、お互いがうまく共生できる世界になってほしいものですね。

 

 

 

References:BiologyLetters,ScienceAlert

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