“ノーキル”達成、デラウェア州が動物殺処分の最も少ない州になる

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Photo by Markus Winkler on Unsplash

アメリカデラウェア州は、動物の殺処分がない初めての州になります。

これは非営利の動物福祉団体「Best Friends Animal Society」の報告によるもので、デラウェア州はアメリカ国内で最初となる、シェルターに預けられたペットたちの殺処分の割合を10%以下にする目標を達成しました。

 

世界中でペットへの需要が高まっている一方、飼い主の飼育の放棄や捨てられたりすることによって施設に送られる犬や猫の数が増え続けています。

アメリカでは昨年、約733,000匹の犬と猫が殺処分されました。

ペットを飼うことに対するハッピーなイメージの裏側には目を背けたくなるような惨い現実があります。

 

Best Friends Animal Societyは動物との共生がよりよい生活に結びつき、人々や地域社会を平和にすると考えています。

彼らは2025年までに全国の犬と猫の殺処分を無くすことを目標にしています。

 

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隣の州にまで及んだ動物保護の精神

 

ペンシルベニア州(デラウェアの隣の州)にある動物シェルター「Brandywine Valley SPCA」は1929年の創設以来、動物の福祉に対して地域社会が関心を取り戻すことができるようにサポートを行ってきました。

現在では年間14,000頭以上の犬や猫を世話していて、病気のケアや養子縁組などを通じてペットが次の家を得られるよう精力的な活動をしています。

この施設では、シェルターに入った動物のうちの95%が死なずに別の住処を見つけているという実績があります。

隣の州であるデラウェアが、アメリカ初の殺処分の最も少ない州になったのにはBrandywine Valley SPCAの活動が少なからず関係しています。

 

Brandywine Valley SPCAのマーケティングディレクターであるリンダ・トレリ氏は、デラウェア州が“ノーキル州”を達成した理由として、大規模な養子縁組イベント、猫のための去勢や避妊手術、低コストの動物病院、教育プログラム、支援が必要な犬のための行動プログラムといった、これまでBrandywine Valley SPCAが行ってきた取り組みを挙げ、それがデラウェアの動物保護に良い影響を与えたとしています。

Brandywine Valley SPCAのFacebookは、デラウェア州がアメリカ初のノーキル州になったことを歓迎し、Best Friends Animal Societyと共に2025年の動物殺処分ゼロを目指す活動に取り組めることを誇りに思う、と記しました。

 

 

Brandywine Valley SPCAによると現在アメリカでは、(残念ながら)毎日2000頭の犬と猫(犬1匹につき猫2匹の割合)が殺処分されています。

 


 

ノーキル州であることを達成するためには、殺処分率が10%を下回らなければなりません。

なぜこれが0%ではないかというと、治療不可能な苦しみを抱えた動物を安楽死させる場合があるからです。

Best Friends Animal Societyは全てのペットに質の高いケアを提供し、殺される危険性が高い動物を救うために活動していますが、動物によっては安楽死が最も思いやりのある選択肢であることも認識しています。

やむを得ず安楽死の措置がとられる際には、動物福祉の専門家が立ち会いそれがベストな選択であることを確認した上で行われます。

 

 

 


 

シェルターでの活動と動物への思いが州をまたいで広がった今回の事例は、世界中の動物保護に携わる人々に勇気を与えるものです。

1頭でも多くの動物が望まない死を回避し、地域社会と動物たちとが共存できるような世界になってほしいものですね。

 

 

 

References:Best Friends Animal Society,Brandywine Valley SPCA