オーストラリアで5年ほど前に発見された恐竜の骨を分析した結果、それがアフリカ地域に生息していた「エラフロサウルス」のものであることがわかりました。
これまでエラフロサウルスの骨がオーストラリア大陸で発見されたことはありません。
スウィンバーン工科大学の古生物学者スティーブン・ポロパット(Stephen Poropat)博士率いる研究チームは、ビクトリア州南部のオトウェイ岬近くの発掘現場で2015年に発見された恐竜の骨を再分析し、この恐竜がエラフロサウルスとして知られる希少な恐竜のものであることを確認しています。
エラフロサウルスは、20世紀初頭にアフリカのタンザニアで初めて発見されましたが、それ以降は発掘例がほとんどなく、また全体の骨格も見つかっていないため、現在でもほとんど研究が進んでいない恐竜です。
オーストラリアにも生息していた謎の恐竜エラフロサウルス
オトウェイ岬の発掘現場で見つかったのは、長さ5cmほどの椎骨で、年代は約1億1,000万年前を示しました。
骨の大きさから恐竜の全長は約2メートルほどと推定され、他の地域で見つかったものと比べるととても小さいことがわかりました。
これまでに見つかっている他のエラフロサウルスの骨は約1億6,000万年前のもので、そこから推定される体の大きさは最大で6メートルにも達します。
2015年に発見されたエラフロサウルスの椎骨 (Image Credit: Ruairidh Duncan/Museums Victoria)
エラフロサウルスの頭蓋骨はいまだ未発見でありその食性については議論がありますが、研究者はこの恐竜が、主に植物を食べていたのではないかと推測しています。
ポロパット博士は、「エラフロサウルスの若者は歯を持っていたが、大人たちはそれを失っており、角のあるくちばしに置き換えられた」と説明し、エラフロサウルスはあまり肉を食べなかっただろうと話しています。
また、今回発見されたものが、これまでに知られているエラフロサウルスに当てはまるかどうかはわからないが、今後頭蓋骨が発見される可能性があると付け加えています。
骨の発見された場所はかつて南極大陸の一部であり、当時は流れの速い川だったと考えられています。
骨が5年もの間エラフロサウルスのものと特定されなかった理由は、他の肉食恐竜や動物の骨と共に川床で発見されたことにあります。
高速で流れる川は、死んだ恐竜や動物の体を分解し、それぞれのパーツは年月を経て積み重なっていきます。
ポロパット博士は、「流れる川によって体が崩壊するため、完全な骨格を見つけることはほとんどない」と語っています。
オトウェイ岬の発掘現場では、これまでにもたくさんの未知の恐竜の骨が見つかってるんだよ
今回の骨はボランティアで参加した一般の人が見つけたんだって