オスのひよこの廃棄をゼロに ドイツの企業が開発した画期的なプロセス

動物

ドイツの企業SELEGGTは、毎年大量に廃棄されているオスのひよこを救うため、卵が孵る前に雌雄を判別するシステムを考案しています。

 

現代のニワトリは、主に鶏卵と鶏肉のために飼育されています。

このうち鶏卵の生産では、卵を産まないオスは、生まれてすぐに廃棄される運命にあります。

廃棄の仕方は国や地域によって異なりますが、いずれも命を軽視しているとして、動物愛護団体などからの反発を受けています。

 

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オスのひよこを廃棄から救う「SELEGGT process」

 

ドイツのテクノロジー企業SELEGGTは、卵の段階で雌雄を判別するシステム「SELEGGT process」を開発し、オスのひなを廃棄から救う取り組みを行っています。

世界では、毎年46億匹ものオスのひよこが生まれてすぐに殺されています。

人類が卵を食べるのをやめない限りこの犠牲は続きますが、SELEGGTはこのうちの一部でも救うことから始め、最終的には世界で廃棄されるオスの数をゼロにしたいと考えています。

 

SELEGGT processではまず、センサーを使って、産み落とされてから8~10日間経過した卵の受精状態をチェックします。

次に、受精が確認された卵にレーザーを当てて小さな穴を開け、受精卵から雌雄を識別するための尿膜液を採取します。

採取した尿膜液は、メスのホルモンである硫酸エストロンが含まれているかを調べるために検査されます。

結果がメスであれば引き続き保育器での飼育が行われ、オスであれば卵は取り除かれ高品質の飼料に転用されます。

このプロセスを経た場合、卵から孵るのはメスのみとなり、オスが廃棄されることは無くなります。

 

雌雄を判別する仕組み (Credit: SELEGGT GMbH)

 

SELEGGT processは、オランダのテクノロジー企業やドイツのスーパーマーケットなどとの協力により、4年の期間を経て開発されました。

雌雄の判別は98.5%の精度があり、尿膜液の採取に必要な時間は卵1個につき1秒程度です。

この手法は、廃棄という方法に比べればはるかに人道的です。

しかし一部の科学者は、受精卵(胚)にも痛みの感覚があり、残酷であることに変わりはないと指摘しています。

 

痛みの知覚がいつ頃から始まるのかという問題については、科学者の間でも意見が分かれています。

ドイツ連邦議会は過去に行った研究結果から、痛みの知覚は15日目から発生するとしています。

SELEGGT processでオスが取り除かれるのは、産み落とされてから10日前後です。

 

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SELEGGT processを使った卵は、2018年11月からドイツの一部の店舗で販売されています。

パッケージと卵には、オスのひよこが廃棄されていないことを示す「respeggt (respect-egg)」のラベルが貼られています。

 

卵の段階で雌雄を判別する技術について、アメリカの鶏卵生産者団体であるUnited Egg Producersは、「生産者は動物福祉を改善する慣行を研究し採用する義務があり、この分野の発展は歓迎すべきものだ」と述べています。

 

 


 

 

せつな
せつな

食卓の卵の裏にはオスのひよこの犠牲がある……

しぐれ
しぐれ

新しい技術で悲惨な廃棄がなくなるといいね

 

 

 

Reference: Treehugger,SELEGGT