仲間思いのユニークな動物リカオンの知られざる生態と未来

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photo by Chris Eason/flickr

オオカミでもなく犬でもなくそれだけで一つの属を形成しているリカオンですが、現在その生息数は急激に減少しています。(正確にはイヌ科リカオン属)

リカオンは群れを重要視する動物で、大人のリカオンは幼い子供のために命を投げ打つことさえあるといいます。

身体にある斑点模様からPainted Wolvesとよばれるリカオンの生態と迫りくる脅威への対策について紹介します。

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リカオンは群れが最優先、そして何より子供を大事にする

 

photo by Chris Eason/flickr

 

英語名ではWolvesとありますがリカオンはオオカミの仲間ではありません。

彼らは犬やオオカミと繁殖することができず、リカオンだけで一つの種を構成しています。

まだら模様は茶色や黒、白や黄色といったものがありますが、ナショナルジオグラフィックの報告によればそのカラーパターンは個体によって異なります。

体長は76~109cm、体重は18~36kgほどで肉食動物としては小柄な印象を受けます。

 

彼らの生息地はそのエサとなる動物の分布に左右されています。

現在はサハラ以南のアフリカ全域に獲物となる動物が分布しているのでそれに従う必要があります。

 

主なエサはインパラのような中型のカモシカですが、まれに大きな動物を倒すことがあり、逆にげっ歯類や鳥を獲物とすることもあります。

時にはヒヒでさえリカオンの狩猟の対象になります。(その成功率は80%以上あるといいます)

 


 

リカオンは群れで行動する動物で、通常5~15頭が群れとなりお互いに協力しあっています。

群れにはアルファオスとアルファメスとよばれる力を持った個体が存在し、繁殖はこのペアによって行われます。

 

群れのメンバーはジェスチャーやさえずり、ボディタッチやうなり声などを巧みに使いコミュニケーションをとります。

最近の調査では“くしゃみ”をすることがグループ内での投票行動であることがわかりました。

リカオンは群れに対しとても強い絆を持っています。

 

Painted Dog Protection Initiativeの創設者であるBrandon Davis氏は、リカオンの群れのことを「蜂やアリのコロニーと似ている」と評しています。

 

photo byLip Kee/flickr

 

リカオンの群れにはそれぞれの立場での役割が存在しています。

幼い子供の世話に加えて、年長者と負傷者のケアも行います。

別の動物の群れでは足の遅い個体や貧弱なハンターは追い出されることがありますが、リカオンの群れにそういったことはありません。

 

そして興味深いのが食事の順番でしょう。

ほとんどの動物の群れでは立場が上のものから食事をしますが、リカオンの群れで最初にごちそうにあずかるのは幼い子供たちです。

年長のリカオンは子供たちのために獲物をかみ砕きそれを与えることさえします。

 

これは子供の生存率を高めることにつながりますが、一方で大人の生存率を損ねる可能性もあります。

アルファメスは一度に2~20匹の子供を産むので、エサの確保次第では大人のリカオンが子供のために死ぬかもしれません。

 

リカオンはアフリカ大陸で2番目に絶滅の危険性があるイヌ科

 

photo by MichaelJansen/flickr

 

リカオンはアビシニアジャッカル(エチオピアオオカミ)に次いで2番目にアフリカ大陸での絶滅が危惧されているイヌ科の動物です。

IUCN(国際自然保護連合)の報告によると2012年の推定数は6700頭でそのうちの1400頭が大人、もしくは繁殖が可能な個体です。

 

彼らの存続に対する最大の脅威は生息地の細分化にあります。

生息地は保護区の外にまたがっていて、そこでは人間や舗装された道での交通事故、また近隣に住む住民からの攻撃といった脅威が存在します。

家畜が襲われないために飼われている番犬たちもそのうちの1つです。

彼らは狂犬病などの恐ろしい病気をリカオンの群れに持ち込む危険性があります。

 

またその他の脅威には別の肉食動物の存在が挙げられます。

ライオンはリカオンの子供を狙い、ハイエナは獲得したエサを横取りしていきます。

リカオンは群れを大事にする動物なので、特に子供たちが小さい時期には他の動物の影響を大きく受けてしまいます。

 

IUCNはリカオンを始めとした肉食獣の生息域が重なりあった原因には、人間の生息地への侵入が関係していると考えています。

 


 

リカオンの群れへの愛情はときにコミュニティ自体の存続の脅威につながります。

先述したリカオンを守る活動をしているDavis氏によると、カモシカを捕らえるために設置されたワナにリカオンがかかると、それを助けるために他のリカオンまでもが犠牲になることがあるといいます。

(ワナはくくり罠やワイヤートラップとよばれるもので輪の中に首が通ると作動し動物の首を絞めあげ殺してしまうものです)

 

通常カモシカを捕らえるために茂みに設置されるワナは5~7個置かれます。

リカオンは仲間を助けるためにやってきては残った別のワナにかかっていくのです。

Davis氏は茂みに隠されたワナはリカオンの群れ全体を一掃してしまう可能性があると述べます。

 


 

Davis氏と彼の同僚たちはワナにかかったリカオンを救うためのアイデアを思いついています。

それは別のリカオンを保護する団体と共同で行われているもので、リカオンの首にワナの攻撃を防御するための首輪をつけるという方法です。

首輪にはGPSの追跡装置がついていてワナにかかったリカオンの場所が特定できます。

ワナにかかったリカオンは動けなくなりますが、致命的な傷を負わずに済みます。

 

Davis氏は「これはリカオンが生き残るチャンスだ」と述べ、ワナを仕掛ける人間に対しそれをやめるように呼びかけました。

 

Wildlife Act: African Wild Dog wearing Anti-Snare Tracking Collar

ワナから首を守るための器具をつけたリカオン Wildlife Act: African Wild Dog wearing Anti-Snare Tracking Collar

 


 

リカオンはその群れへの忠誠心から海外では「Three Musketeers(三銃士)」とよばれることがあるそうです。

しかし人間の狩りの対象になったり、また犬からの感染症などにより現在急激に数を減らしています。

子供を優先にしたり、年長者や負傷者を見捨てない姿は胸をうつものがあります。

 

リカオンの「群れを大事にする」というユニークな特性がこれからもずっとアフリカの大地で輝き続けますように。

 

 

References:LiveScience,Painted Dog Protection Initiative

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