クジラが座礁してしまうのは海軍の使うソナーが原因だった

動物

海岸に打ち上げられるクジラの現象は世界各地でみられますがまだその決定的な理由は明らかになっていません。

エサを追っているうちに浅瀬に入ってしまったというものや、磁場や気候の影響によるものなど様々な説があります。

 

先日イギリス王立協会に掲載された研究は、クジラの座礁には海軍の使うソナーの影響があるかもしれないと発表しています。

スポンサーリンク

 

座礁したクジラたちは減圧症と同じ症状をしていた

 

photo credit: FWC Research Stranded sperm whale via photopin(license)

 

クジラの座礁自体は近年になって起こり始めた現象ではなく古くからあったことがわかっています。

 

様々な説がある中、20年近く前に新たなクジラの座礁説として海軍のソナーの影響が提唱されてきました。

科学者たちはこれまで言及を避けてきましたが、今回の発表はその説を裏付けるものとなります。

 

研究では、打ち上げられたクジラの体内に急激な圧力の変化があったことを発見しています。

深海を泳ぐクジラとして知られるアカボウクジラの解剖結果からは、体組織の中に窒素の泡、そして減圧症の症状が見られました

 

減圧症は、体液中に溶け込んでいた気体が水面に近づくことで気化しそれが血管を塞ぐことで起きる血行障害です。

中でも窒素は気化されやすく、クジラの体液中に窒素の泡が確認されたことは急激な圧力変化があった証拠です。

(スキューバダイビングで陸に上がった人間もひどい場合には全身が麻痺し死に至ることがあります)

 

研究者たちは何かがクジラたちを動揺させパニックに陥れたと考えました。

そして彼らが打ち上げられた場所で海軍のソナーを使った演習が行われていたことを突き止めました。

 


 

ソナーはクジラたちを混乱させ心拍数を上昇させました。

恐怖状態に陥ったクジラが水面に向かううちに減圧症と同じ症状になり最後には座礁してしまったのです。

 

クジラの座礁は昔から例がありましたが”大量の“となるとそれは最近になってからのことです。

 

大量のクジラの座礁と海軍の演習について調べた研究者たちは意外な発見をしました。

それはソナーに使われる周波数でした。

 

中周波数アクティブソナー(MFAS)と呼ばれるものは1960年以降海軍演習で使用されるようになりました。

そしてクジラの大量座礁の事例もこれ以降増加していることがわかりました。

 

4.5~5.5kHzの範囲で動作するMFASは知らないうちに深海で暮らすクジラたちの日常に忍び寄っていました。

研究結果では1960年から2004年までの間に121回の大量座礁が起こっているということです。

 

ソナーの及ぼす影響と使用しない試み

 

 

2017年にクジラを研究している別の科学者たちが、クジラの大量座礁とソナーとの関係についてワークショップを開きました。

それによると2002年から2014年の間に、スペイン南東部、ギリシャ、カナリア諸島、アルメリアなどの地域で6回の大量座礁が確認されました。(この海域ではソナーを使った海軍の演習が行われています)

 

解剖結果を調べたところクジラたちが病気や栄養不良だったことは確認できませんでした。

一方でクジラの静脈には豊富な気泡と複数の臓器には出血が見られました――これは間違いなく減圧症の症状です。

 

これらの結果から科学者たちは、ソナーがクジラたちに影響を与えその結果大量座礁につながったと結論づけています。

 

また別のクジラの行動調査によれば、クジラのソナーに対する反応は軍の前哨基地の近くに住んでいるクジラほど低かったということです。

打ち上げられたクジラの多くは深海を拠点にしているクジラでした。

 


 

こうした研究結果を受けて、スペインはカナリア諸島の水域でのソナーの使用を禁止しています。

また研究者たちは他の地域においてもソナーの使用を禁止するよう勧告しています。

 

 

 


 

人間にとって便利なものでも動物たちにとっては迷惑なものもあるというなんとも歯がゆい研究結果です。

 

海に住む動物についてはまだまだ知らないことがたくさんあります。

海洋汚染が深刻になってきている昨今ですが、なんとかして人間と海の生物たちがうまく共存できる道が見つかることを願います。

 

 

 

Source:LiveScience

動物
スポンサーリンク
しぐれをフォローする
しぐれちゃんねる

コメント