イギリスの研究者チームは海岸で拾ったレゴブロックを化学分析し、このおもちゃが分解されるのに必要な時間が100年から1,300年であると発表しています。
イギリスのコーンウォールの海岸には、1997年に沖合で発生した貨物船の事故により今でも多数のレゴブロックが漂着します。
この事故では500万個以上のレゴが海に流れ出しました。
またこれ以外にもこの海域には、200万個以上のレゴブロックがトイレなどを経由して流れ込んでいると推定されています。
世界中の子供たちに人気のレゴはその耐久性が魅力の一つであり、数十年の間自然環境にさらされてもほとんど劣化しません。
しかし自然界にあるプラスチックは時間が経つにつれ、マイクロプラスチックと呼ばれる微細な粒子に分解されます。
マイクロプラスチックは海洋生物の体内に入り込むことで生態系に大きな影響を与えます。
耐久力に優れたレゴも海洋環境のなかで、ゆっくりとマイクロプラスチックを放出しています。
レゴの耐久性の高さとプラスチックを適切に処分する重要性
イギリスのコーンウォールでレゴブロックの回収を行っているボランティア団体「LEGO Lost at Sea Project」と、英国プリマス大学の科学者で構成された研究者チームは、海岸で50個のレゴブロックを拾い、それを劣化していない同じ種類のレゴブロックと比較しています。
各レゴブロックは、劣化や消失した部分を特定するために蛍光X線による分析が行われました。
その結果、1970年から1980年代にかけて販売されたレゴであっても、海洋環境ではほとんど劣化しないことがわかりました。
レゴ自体は、摩耗したり傷ついたり色が落ちたりしていたものの、原型を崩すほどではありませんでした。
左が海岸で拾ったレゴ、右が未使用のレゴ Image: Environmental Pollution
研究者は、海洋環境にあったレゴと未使用のレゴとの重量の比較から、レゴの耐久年数は100年から1,300年であると結論づけました。
Environmental Pollutionに掲載された研究の著者の一人である、プリマス大学の環境科学の教授アンドリュー・ターナー(Andrew Turner)氏は、「レゴは歴史上最も人気のあるおもちゃの一つであり、その魅力の一部は耐久性にあるため、何十年も海の中にあっても不思議ではない」としながらも、研究で使われたレゴがほとんど摩耗していなかったことは非常に驚きだったと語っています。
レゴブロックの素材であるABS樹脂は耐久性が非常に高いことで知られています。
一方で分析結果からは、海洋環境にあったレゴの重量が未使用のレゴよりも軽いことが示されました。
これは摩耗や傷によって切り取られた微細なプラスチック片が、マイクロプラスチックとして海に流出していることを表しています。
ターナー教授は、「海洋環境におかれたレゴブロックは構造の一部が破壊され断片化し、マイクロプラスチックに分解される可能性がある」と述べ、今回の研究結果は、使用済みの製品を適切に処分することの重要性を改めて強調していると説明しました。

耐久性が高いのはおもちゃとしてはいいことなんだけどね

プラスチックを捨てるときはちゃんと分別しよう!
References: ScienceAlert