世界中で60万人を雇用するネット販売大手のアマゾンは、その大きさゆえに事業によって生み出される二酸化炭素について削減を求められてきました。
先日アマゾンの約1,000人の従業員で構成された「気候正義のためのアマゾン従業員(Amazon Employees For Climate Justice)」なるグループが声明を出し、雇い主であるアマゾンに対し気候変動に対する取り組みを率先して行うよう求めました。
We want Amazon to commit to zero emissions by 2030 and pilot electric vehicles first in communities most impacted by pollution. We should be leaders reaching zero first, not sliding in at the last moment.
Pledge to walk out with us: https://t.co/Ubcm6G2XWQ pic.twitter.com/vGmLIs9rnY
— Amazon Employees For Climate Justice (@AMZNforClimate) September 9, 2019
「気候正義のためのアマゾン従業員」は、9月20日から7日間にわたって実施される、気候変動に対する意識を高めるために職場を離れることを奨励するイベント「世界気候ストライキ(Global Climate Strike)」に合わせて声明を出し、「アマゾンは世界最大かつ最も強力な企業の一つである」として、気候変動問題をリードすべき存在でなければならないと指摘しました。
声明では、気候変動の影響を否定している政治家やロビイストへの献金をアマゾンにやめさせることや、化石燃料を扱う企業との取引を停止させることなどが提案されています。
またアマゾンとその従業員が都市部において電気自動車を利用することも望んでおり、2030年までに「ゼロエミッション」を達成することが重要であるとしています。
ゼロエミッションは環境を汚染しないエネルギー源のことで、現状、化石燃料を利用している限り達成することはできません。
ゼロエミッションを達成するには新しいエネルギー源が必要です。
この点についてグループは「真のリーダーは気候変動に直面した際にゼロエミッションを最初に達成するものであり、決して最後にそれをするべきではない」とし、アマゾンの革新的な社風が新しい技術を生み出すことに期待を寄せました。
アマゾンは気候変動問題について静観しているわけではありません。
「気候正義のためのアマゾン従業員」によると、アマゾンには既に環境への影響を減らすために取り組んでいる持続可能性チームが存在しています。
チームは2030年までに出荷する全ての商品の半分について二酸化炭素の排出をゼロにする「Shipment Zero」というプログラムを準備しています。
これは梱包材から商品の配送に至るまでの全ての二酸化炭素を対象にしています。
また梱包や輸送に関連した85人で構成されるアマゾンの専門チームによると、過去10年間で244,000トン以上の包装材料を削減し、それにより5億箱以上の梱包を無くすことができたということです。
これまでにもアマゾンと同社の従業員との間には気候変動に対する取り組みに関しての対立がありました。
今年5月に行われた投資家向けの説明会では、気候変動に対してアマゾンが行動を起こすように求める書簡に7,600人以上の従業員がサインしました。
CEOのジェフ・ベゾス氏も気候変動に対しては問題意識を持っているようで、「気候変動よりも重要な問題を見つけることは難しい」と述べ、多くのプログラムが現在進行中であることを明らかにしています。
気候変動による影響は国を限定しないため、アマゾンのような世界的企業が率先して問題解決にあたることは、多くの人たちの手本となりまた行動を促す原動力となります。
……従業員が気候変動に対して雇い主に訴えかけるというのは(少なくとも日本においては)なかなかできるものではなく、この問題についての意識はやはり外国が一歩進んでいるという印象があります。