アメリカとカナダおよび中国の科学者で作られた国際的な研究チームは、ミャンマーで見つかった琥珀の調査を行った結果、そこに閉じ込められていた鳥類の化石が、記録上最も小さな恐竜であると発表しています。
ミャンマーの北部で見つかった琥珀の標本に残されていた鳥類の頭蓋骨は、今からおよそ9,900万年前のものと推定されており、研究者は、その特徴的な目とたくさんの歯から、ラテン語で“目と歯の鳥”の意味を持つ「Oculudentavis (オクルデンタビス)」という名前を付けました。
オクルデンタビスは、現存している鳥のなかで最も小さい「マメハチドリ」とほぼ同じ、全長数センチ、体重が2グラムほどであったと考えられています。
最も小さいとされている恐竜の一種である「ミクロラプトル」でも、その体重は数百グラムであることから、オクルデンタビスの発見は、現在の鳥類がどのように進化してきたのかについての新たな見方につながる可能性があります。
オクルデンタビスは進化の常識から外れた恐竜
オクルデンタビスの頭蓋骨 Credit: LI Gang
Natureに掲載された研究の著者の一人で、ロサンゼルス自然史博物館の研究員、Jingmai O’Connor博士は、「非常に小さな動物は、全ての感覚器官を頭に収める方法や体温を維持する方法など、特定の問題に対処しなければならない」と述べ、この“小型化”と呼ばれるプロセスがオクルデンタビスにも起こっていたと指摘します。
小型化した動物には一般的に、大きな目と歯の喪失という特徴が見られますが、オクルデンタビスは目が大きいだけでなく、多くの歯も持っていました。
これは従来の進化の常識から外れています。
オクルデンタビスの想像図 Credit: HAN Zhixin
オクルデンタビスには、強膜輪(きょうまくりん)と呼ばれる目を支えるための骨がある一方で、その形状は現在の鳥類にみられるような方形ではなく、一部のトカゲなどの種でしか見られないスプーン状になっていました。
また目の向きや位置も、これまでの鳥類の化石にはない特徴がありました。
おそらくオクルデンタビスは昼行性で並外れた視力を持っていました。
また顎に残っていた無数の歯から、ハチドリのような花の蜜ではなく昆虫などを捕食していたと考えられます。
オクルデンタビスは頭蓋骨の部分しか発見されていないため、これが本当に鳥だったのかについては議論の余地があります。
化石の独特の特徴について研究者は、化石が見つかった場所がかつて島であったことから、隔離された環境が小型化のプロセスに影響を与えた可能性を指摘しています。
O’Connor博士は、「オクルデンタビスは自分が研究してきたなかで最も奇妙な化石だ」と述べています。
小さい恐竜の化石はなかなか見つからないから琥珀に閉じ込められていたのは幸運だったね
琥珀を探せば知られていない恐竜がもっと見つかるかもねー
References: Natural History Museum of Los Angeles County,BBC