マイクロプラスチックの4分の1が通過 洗濯機に取り付けられたフィルターの有効性

自然
(chrissie kremer/Unsplash)

プラスチックの環境への影響が叫ばれているなか、洗濯時に衣類から放出されるマイクロプラスチックを取り除くフィルターが注目されています。

(マイクロプラスチックは0.5ミリ以下のプラスチック)

毎年世界中で推定500億着の衣服が洗濯されており、プラスチックを含む合成繊維を使った衣服は、年間で4,200万トンも生産されています。

合成繊維でできた衣服を洗濯すると、1回につき平均で50万~600万個ものマイクロプラスチックが放出されます。

 

プラスチックを取り除くフィルターの装着は、誰もが簡単にできる環境保護です。

しかし新しい研究によると、洗濯時に放出されるマイクロプラスチックの4分の1はフィルターを通り抜けています。

 

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マイクロプラスチックの4分の1はフィルターを通り抜ける

 

オーストラリアの研究者は、市販されているプラスチック除去フィルターの、実際の能力について調べる実験を行っています。

下水処理施設はプラスチックを含む繊維を汚泥の一部として転用していますが、マイクロプラスチックの全てを取り除くことはできないため、洗濯機に取り付けられるフィルターには大きな期待が寄せられています。

 

ニューサウスウェールズ大学の生態学者であるマーク・ブラウン博士の研究チームは、以前行った実験で、洗濯のたびに最大1,900本のプラスチック繊維が放出されることを確認しています。

今回の実験では、排水に含まれるマイクロプラスチックの量を、フィルターを装着した場合とそうでない場合とで比較しました。

洗ったのは綿とポリエステルでできた衣服です。

結果、フィルターを付けた洗濯機は、ポリエステル繊維の量を最大74%削減できることがわかりました。

 

フィルターは確実にマイクロプラスチックを捕らえましたが、研究者はこの結果を十分だとはみなしていません。

約4分の1のマイクロプラスチックは、フィルターを通り抜け環境に放出されています。

ブラウン博士は、現在消費者に販売されている衣類や洗濯機などが多岐にわたっている点を指摘したうえで、「実験結果は、フィルターの有効性について厳しく審査する必要性を強調している」と述べています。

またフィルターへの関心が政府、産業界、一般市民などの間で高まっていることから、「材料やプラスチックを取り除く方法についても、さらなる研究が必要である」と付け加えています。

 

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最近の研究によると、毎年推定1億5,000万トンのプラスチックが、廃棄物の流れのなかから“消えて”います。

これらの追跡できないプラスチックは、最終的に川から海に流れ込み環境を汚染しています。

 

ブラウン博士は2013年の研究で、海に流れ着いたプラスチックがゴカイなどのワーム類に食べられていることを発見しています。

ワームは海岸や砂浜をきれいに保つ掃除屋としての役割を持っています。

しかし消化できないプラスチックを腸内にため込むと他の有機物を食べられなくなるため、海の生態系は時間とともに乱れていくことになります。

マイクロプラスチックにはワームにとって有害な、難燃剤などの物質も含まれています。

ブラウン博士は、「我々は、ミリ、マイクロ、ナノメートルの大きさの繊維を下水に排出しないための方法を緊急に必要としている」と述べ、「科学的な証拠に基づいてろ過システムを開発することは、より良い環境保護と消費者の信頼につながる」と強調しています。

 

研究結果はPLOS ONEに掲載されました。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

洗濯するとプラスチックが出るなんてほとんどの人は知らないんじゃないかな

せつな
せつな

プラスチックは衣類のほとんどに含まれている……

 

References: BBC