世界27ヵ国を対象に行われた気候変動に関する調査は、多くの人がこの問題を真剣に考えていることを明らかにしています。
世論調査会社GlobeScanが6月に実施したオンラインアンケートでは、「気候変動を深刻にとらえているか」や、「問題解決のために行動すべきか」といった質問に、27ヵ国、それぞれ1000人ずつが回答しました。
気候変動を「深刻」あるいは「やや深刻」と考えている人の割合は、27ヵ国の平均で90%でした。
最も高い関心を持っている上位3ヵ国は、メキシコ(97%)、トルコ(97%)、韓国(96%)で、最も関心の低い3ヵ国は、ロシア(79%)、アメリカ(81%)、オーストラリア(81%)でした。
この割合は去年とほぼ変わらず、中国だけが大幅なポイント増加を見せました。(81%から86%)
これらの結果は、気候変動が新型コロナのパンデミック状態にあっても、人々の関心事であり続けていることを裏付けています。
気候変動を深刻にとらえている人の国別の割合 (Image: GlobeScan)
過去6年を振り返ると、気候変動に対する関心は、アメリカ、中国、インドなど、温室効果ガスを大量に排出している国で急速に高まり始めています。
アメリカでは2014年当時、気候変動を深刻にとらえている人の割合は60%ほどでしたが、今回の調査では81%にまで上昇しています。
こうした動きの背景には、女性や若い世代、そして教育レベルが高い人の存在があります。
データからは、都市部に住む人やZ世代が、気候変動に対して大きな懸念を抱いていることが示されました。
気候変動は裕福な国と貧しい国とで感じ方が異なる
気候変動が地球規模の問題であるという認識は世界の人々に浸透しています。
一方で、問題を解決するための具体的な行動への意欲は、裕福な国と貧しい国との間で温度差が存在しています。
日本、スウェーデン、オーストラリア、アメリカ、イギリスでは、「気候変動を解決するために行動すべきである」とした人の割合が45%未満だったのに対し、ケニア、メキシコ、アルゼンチン、トルコ、ナイジェリアでは70%を上回りました。
また「気候変動の影響を最も受けるのは貧困層である」と答えた人の割合は、ブラジル、ケニア、トルコ、ナイジェリアでは60%以上でしたが、日本、オーストラリア、アメリカ、イギリスといった国では40%未満でした。
全体として気候変動に緊急性を感じている人は、温暖化とそれに伴う実害を実際に経験している傾向にあります。
メキシコ、トルコ、ベトナム、イタリアでは、50%以上の人が、気候変動に関連する個人的な経験を持っていました。
一方で、アメリカ、カナダ、ドイツ、オーストラリア、スウェーデン、イギリス、日本といった裕福な国の人たちは、それらの経験をほとんど持っていませんでした。
気候変動は一国だけの問題ではなく、解決には地球規模での行動が必要です。
しかし現状、気候変動を引き起こす原因を作っている国ほど、問題解決のために動こうとはしません。
それでもこの問題がここ20年ほどで、人々の大きな関心事になったことは事実です。
調査を行ったGlobeScanのエリック・ワン氏は、2005年の「ハリケーン・カトリーナ」の被害が一つの分水嶺になったと指摘し、「多くの人が気候変動を人為的なものととらえ、人類が脆弱であると認識するようになった」と述べています。
「気候変動の影響を受けている」と答えた日本の回答者はわすが9%だったようだ
実際に被害を経験しているかどうかで気候変動に対する感じ方も変わってくるよね