北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の研究者は、植物の受粉にシャボン玉を使うアイデアを試し、実際に梨の実を成長させることに成功しています。
果物や野菜の受粉に使われるミツバチはここ十数年で激減していることから、研究者は新しい受粉方法を模索してきました。
ミツバチが少ない場合人の手を使って受粉を行わなければならず、それに伴うコストは農家にとって大きな負担になっています。
シャボン玉を使った受粉は、持続的な農業にとって重要なステップとなる可能性があります。
シャボン玉を使った受粉は手作業の受粉とほぼ変わらない効果がある
JAISTの都英次郎准教授たちの研究グループは、以前にもドローンを使った受粉の方法を実験していました。
このときに使われたドローンはわずか2cmという小さなものでしたが、受粉の過程で植物を傷つけてしまうことが難点でした。
その後都准教授は、息子と公園でシャボン玉を使って遊んでいた際に今回のアイデアを思いつきました。
ドローンの機体は植物を傷つけますが、シャボン玉は相手を傷つけることはありません。
都准教授はシャボン玉が息子の顔に当たったときのことを振り返り、「石鹸の泡は柔らかく、軽く、柔軟性があるため、ダメージはなかった」と述べました。
そしてこのことが、シャボン玉を使う受粉のアイデアにつながったと明かしました。
(WebLab24_Siti_Web/Pixabay)
光学顕微鏡によって、シャボン玉が花粉を含んだ状態で飛べることは確認できましたが、同時に成分が植物にとって毒になることもわかりました。
そこで研究室では植物に影響を及ぼさない石鹸の泡を開発し、それを実験に利用しました。
出来上がった特製の石鹸水をバブルガンに投入した研究チームは、梨の木に向かってそれを発射し、受粉が起こるかどうかを観察しました。
結果、16日後に実の形成が確認されました。
シャボン玉による受粉は、人の手で受粉をした場合とほぼ同じ効果がありました。
都准教授は、「シャボン玉を使った受粉と手を使った受粉の実の形成率は約95%であり、それらの間に有意な差はみられなかった」と述べています。
観察では、どちらの方法でも実の形や大きさに違いがないことがわかりました。
一方でシャボン玉が大量の廃棄物を発生させることや、風雨によって受粉が妨げられるといった問題が起こることもわかりました。
実際の受粉は自律ドローンを使って行われるため、こうした問題のいくつかは、技術的な進歩と改良によって克服できる可能性があります。
都准教授は、「これを幻想だと片付ける人もいるかもしれないが、シャボン玉は受粉に効果的である」と述べています。
研究結果はiScienceに掲載されました。
自律ドローンの実験だと、2メートルの距離からシャボン玉を発射して90%の成功率があるみたい
世界的にミツバチが減少してるから早く実用化されるといいね
References: BBC