オーストラリアの企業Mako Energyは、水の流れを使って電力をつくる水中タービンを開発しています。
タービンは直径2~4メートルほどの大きさで、1つにつき最大20世帯分の電力を生成することができます。
石油や石炭を由来とするエネルギーからの脱却が求められているなか、川や海でも利用できる水中タービンは、クリーンエネルギーを生み出す設備として注目されています。
化石燃料への依存を減らす安価な水中タービン
オーストラリアは豊富で低コストな石炭資源があるため、クリーンエネルギーの利用率はそれほど高くはありません。
オーストラリアの研究開発機関「オーストラリア連邦科学産業研究機構 (CSIRO)」の科学者であるジェニー・ヘイワード氏は、現在の国内のエネルギーの大部分が石炭からのものであり、クリーンエネルギーとしては既に、風力と太陽光発電が利用されていると説明しています。
しかし再生可能エネルギー分野も成長してきており、水力や潮汐力を使ったエネルギーにも関心が注がれ始めています。
水中タービンは他のクリーンエネルギーと比べて大きな利点があります。
それは環境に左右されにくいことです。
例えば風力発電は風が吹かない場合、作られる電気の量が減ります。
また太陽光発電も曇りや雨の日が続けば、効率が悪くなります。
一方、川や海に設置された水中タービンはそうした環境の影響を受けにくいため、生み出されるエネルギー量をより正確に予測することができます。
しかし水中タービンには、再生可能エネルギー分野に共通する欠点ともいえる、コストの問題があります。
現状、クリーンエネルギーの費用対効果は、化石燃料や原子力よりも劣っていると言わざるをえません。
大規模な潮汐エネルギーシステムには莫大な資金が必要で、韓国にある世界最大規模の潮力発電所の建設には、およそ3億ドルの費用がかかっています。
Mako Energyの水力タービンの価格は、出力の大きさや設置場所によって異なりますが、およそ2万ドルから7万ドルです。
(Credit: Mako Energy)
これまで会社が取引してきた相手は主に大企業や政府でしたが、最近ではコストの削減によって、個人や地元のコミュニティがタービンに関心を持つようになりました。
Mako Energyのマネージングディレクターであるダグラス・ハント氏は、自社の提供しているタービンについて、「潮力タービン自体は既に存在していたがコストが課題だった」と振り返っています。
Mako Energyの水中タービンは、個人でも簡単にメンテナンスができる規模で作られています。
個人レベルでタービンが普及すれば、各家庭やコミュニティが周囲の流れる水にアクセスし、エネルギーを生み出すことができます。
ハント氏は、「隠れている豊富なソースからエネルギーを生み出せるようにすることで、化石燃料への依存を減らす取り組みに貢献したい」と語っています。
潮汐エネルギーの可能性は海がある限り有望にみえますが、現時点ではコスト以外にも克服しなければならない問題があります。
CSIROは「この資源の規模は十分に定量化されていない」と述べ、また2017年のEUの報告書は、潮汐エネルギーを生み出す設備の海洋生物への影響について研究が不足していると指摘しています。
オーストラリア政府は現在、さまざまな海洋エネルギープロジェクトに投資しており、今後潮力や波力を利用したエネルギーがさらに普及していく可能性があります。
水中タービンは川に設置することもできるみたいだよ
安くても2万ドルか……普及させるにはもう一声ほしいところだな
References: CNN