国連の報告によると、世界は毎年3億トンのプラスチックを廃棄しています。
そのうちリサイクルされるのは14%ほどしかありません。
プラスチックは分解されにくく長く生態系に影響を与えるため、いかにプラスチックを削減するのかは地球に住む全ての人にとって緊急の課題です。
最近になり日本でも、レジ袋の有料化などでプラスチックを削減する動きが活発化してきていますが、世界にはさらに進んだプラスチック対策をしている企業があります。
南アフリカのスタートアップ企業Munch Bowlsは、使い捨てのブラスチック製食器にとって代わる、小麦で作られたボウルを開発、販売しています。
このボウルは最大5時間食品を乗せたままにすることができ、最後にはもちろん食べることができます。
小麦でできたボウルは既にケータリング業界やイベントなどで使われ始めており、南アフリカだけでなく、ベルギーやシンガポール、ドバイなどでも販売実績があります。
会社は食べられるボウルの需要に合わせて、手作業から機械による生産へとシフトし、今では1時間あたり500個のボウルを作ることができるようになっています。
小麦で作られた食べられるボウル
Credit: Munch Bowls
アーティストで起業家のジョージナ・デ・コック氏は、食品市場で働いていた際、そこで使用されるブラスチック製品の多さに愕然としたことをきっかけに、2014年にMunch Bowlsを起業しました。
コック氏は「身の回りには私たち人間によって作られた瓦礫があるばかりで本当にいらいらさせられた」と当時を振り返りました。
Munch Bowlsで作られている小麦を原料としたボウルは食べることができるため、再利用のために容器を洗浄する必要がありません。
これはゴミを減らすことに貢献するだけでなく時間の節約にもなります。
皿に載せられるものは何でも載せられます。それは手で持つのにぴったりのサイズです。
いくつかあるボウルのうちの大きなものは、1個あたり33セントで販売されています。
従来のプラスチック包装よりも高価である反面、ボウルは食べることができるので、ゴミの片づけと体への栄養面を考えると価格差は大きなハンデとはなりません。
コック氏は「プラスチックは食べられません。それは汚染以外に何も残しません」と語り、ボウルを最終的に食べられることは製品の大きな価値であると強調しました。
Credit: Munch Bowls
Munch Bowlsが作る製品は小麦が原料になっており、人工着色料や香料なども含まれていない完全植物ベースのヴィーガン食でもあります。
会社は食べられるボウルを使うことで、食品業界で発生するカーボンフットプリント(それが作られる際に発生する温室効果ガスの総量)の削減に貢献したいと考えています。
Munch Bowlsの製品の数はまだそれほど多くはありませんが、最近になりビジネスパートナーを雇い規模の拡大に乗り出しています。
来年には6つの生産ラインを設置し、スプーンやコーヒーカップ、機内食で使われる食器などの製品を作る予定です。
コック氏は、「世界は汚染の危機にさらさられている」と述べ、今こそ、世界が環境に対し何かをするべき時であると訴えました。
この小麦でできたボウルには、プラスチック削減だけでなく、おいしくてゴミがでないという利点もあります。
プラスチックや使い捨て素材は便利であるため、そこから離れるのは簡単なことではありません。
しかしMunch Bowlsの食べられるボウルのように、おいしくてそれなりの価格でありゴミも少なくて済むのであれば、試してみたいという人も出てきます。
プラスチックの便利さを手放すことが困難でも、代替商品に大きな利点があれば人は移行することができます。
食べられるボウルのようなアイデア商品は、人々の環境保護への意識を変えていく役割も担っています。
ボウルにはいくつかの味が用意されているみたいだよ。あと、サクサク感を出したいときにはオーブンで焼くといいんだとか
結構おいしそうだし、ゴミが出ないのはポイント高いかも!
References:CNN