カナダのアルバータ州で発見された恐竜の化石は、その後の調査の結果、これまでに見つかった最も古いティラノサウルス科のものであることがわかりました。
白亜紀に関連するトピックを扱う科学誌Cretaceous Researchに掲載された研究は、発見された化石が新種のティラノサウルスのものであり、これまでにカナダで発見されたどのティラノサウルス科よりも古い時代に生きていた種であると報告しています。
ギリシャ神話の死神タナトスの名がつけられた、最も古い時代に生きたティラノサウルス
アルバータ州南部にある集落ヘイズの近くで見つかった化石には、あごの骨に特徴があり、過去にカナダで見つかっている4種のティラノサウルスのものとは大きく形状が異なっていました。
ギリシャ神話に登場する死神「タナトス」の名を含む「Thanatotheristes degrootorum」と名付けらた新種のティラノサウルスは、7,950万年前の北米大陸に生息していたと推測され、体長が約8~9m、大人の体重は2トンを超えていた可能性があります。
ハイキング中に化石を発見した、古生物学の愛好家で農業を営むジョン・デ・グルート(John De Groot)さんは、化石化した歯がはっきりと見えたことでこれが特別なものであることを確信したと当時の状況を振り返り、「顎の骨は本当に素晴らしい発見だった」と話しました。
カナダでのティラノサウルス科の化石の発見は、1970年以来のことになります。
Credit: Royal Tyrrell Museum
これまでにカナダで発見されているティラノサウルス科の恐竜は、「ダスプレトサウルス(Daspletosaurus)」、「ゴルゴサウルス(Gorgosaurus)」、「アルバートサウルス(Albertosaurus)」、そして「ティラノサウルス(Tyrannosaurus rex)」の4種です。
これら4種の活動していた時代は、約6,600万年前から7,700万年前で、タナトスはそれよりもさらに250万年古い時代に生きていたことになります。
アルバータ州にあるロイヤル・ティレル古生物学博物館の恐竜古生態学のキュレーター、フランソワ・テリエン(François Therrien)博士は、タナトスの発見を、「ティラノサウルスの進化の理解のギャップを埋めるうえで重要なものだ」と話しています。

ティラノサウルスは頂点捕食者だから死神という名前も納得だねー

食べられる側からすれば肉食恐竜はみんな死神……
References: CNN, Royal Tyrrell Museum