ケロッグの人気ポテトチップス「プリングルズ」の容器は、長らく「エコではない」として批判されてきました。
プリングルズの筒形の容器は紙製ですが、ポテトチップスの油を吸うため、燃えるごみとして捨てざるを得ません。
また蓋と密封シールがプラスチック、底がスチールで出来ており、それぞれ分別する必要があります。
イギリスのリサイクル協会はプリングルズの容器を、スポーツドリンクの「ルコゼード」の容器と共に、「リサイクルを妨げる悪役」と非難しています。
こうしたなかケロッグは、1年ほど前から環境に配慮した容器の開発に取り組み、一部の地域で試験的な販売を始めるようになりました。
しかし専門家は、新しい容器が問題の解決に役立つとは考えていません。
プリングルズのエコ容器にはプラスチックも含まれている
プリングルズの新しい容器は再生紙で作られており、蓋は紙とプラスチックの2種類のバージョンがあります。
いずれもリサイクルが可能であり、現在イギリスの少数の店舗で試験的な販売が行われています。
ケロッグは2025年末までに、容器を100%再生可能なものにすると宣言しています。
Exciting news! Pringles, in partnership with @Tesco, is trialing a new widely recycled* paper
— Pringles (@Pringles_UK) September 10, 2020
can in the UK. This is part of the @KelloggsUKI‘s commitment to ensure 100% of its packaging
is reusable, recyclable or compostable by the end of 2025. #PopPlayEatRecycle pic.twitter.com/zVkzV6K7js
新しい容器は12カ月かけて開発されたもので、従来の容器と変わらず、長い保存期間とパリっとした食感を実現しています。
プリングルズの副社長ミランダ・プリンス氏は、エコ容器への取り組みについて、「自分たちの役割を果たし、地球への影響を減らしたい」と述べています。
プリングルズの新しいエコ容器 © Pringles/Kellogg
従来のプリングルズの容器を「悪」と呼んでいるリサイクル推進派は、新しい容器を懐疑的に見ています。
英国リサイクル協会のサイモン・エリン氏は、「リサイクル業者の観点からみると、プリングルズの容器は悪いデザインの要塞のようなものだ」と述べる一方、新しい容器については、「改良版であり、広く歓迎する」と評価しました。
しかしプラスチックの蓋については、環境汚染の度合いを減らすのではなく、むしろ増やす結果を招くと指摘しました。
エリン氏は、「ピクニックに行った人は蓋を置き去りにし、それらは川や海に流れ込む」と述べ、プリングルズがプラスチックの蓋にこだわるならば、「汚染の問題はさらに悪化する」と強調しています。
リサイクル協会は、ケロッグと、分別が難しいルコゼードを生産するサントリーに対し、さらに環境に配慮した製品を作るよう求めています。
新しい容器の90%は再生紙でありリサイクルが可能です。
しかし残りの10%の素材には、味を損なう酸素や湿気からポテトチップスを守るために、ポリアルと呼ばれるプラスチック成分が含まれています。
これは新しい容器であっても正しい分別が行われなければ、環境汚染につながることを意味しています。
プリングルズの保存期間は15カ月で、ヨーロッパでは毎日300万缶が製造されています。
ケロッグはエコ容器について、“評判が良ければ”ヨーロッパ全土に展開される可能性があるとしています。

エコ容器は捨てられても自然に分解するみたいだよ

プリングルズはおいしいけど処理が大変……

分別のしやすさもリサイクルの大事な要素だな
References: BBC,The Grocer